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小児(国内第Ⅱ相試験)

小児(国内第Ⅱ相試験)

グラム陽性球菌による複雑性皮膚・軟部組織感染症又は菌血症を有する1~17歳の日本人小児患者

国内第Ⅱ相試験の対象には一部国内承認外の適応菌種が含まれるデータで評価され承認されたため、国内で承認されている効能又は効果と異なるデータも紹介しています。

承認時評価資料:小児を対象とした国内第Ⅱ相試験(029試験)
Iwata S,et al.,J Infect Chemother.2022;28(3):406-412.
[利益相反:本試験はMSDの研究費により実施された。Koyama H、Murata YはMSDの社員。]

試験概要

試験:多施設共同、単群、非盲検試験
目的:主要目的:グラム陽性球菌による複雑性皮膚・軟部組織感染症又は菌血症の1~17歳の日本人小児患者を対象にキュビシン®の安全性及び忍容性を検討する。
副次目的:・MRSAによる感染を有する患者におけるキュビシン®の有効性(治癒判定時※1の臨床効果及び患者ごとの細菌学的効果)を検討する。
・キュビシン®の定常状態における薬物動態を検討する。
対象:1~17歳のグラム陽性球菌による複雑性皮膚・軟部組織感染症又は菌血症の診断又は疑いにより抗菌薬の静脈内投与を受けている腎機能障害(eGFR<50mL/min/1.73m2)のない日本人小児患者
〈複雑性皮膚・軟部組織感染症〉
深部軟部組織を含む感染症又は重大な外科的介入を必要とする感染症(例:蜂巣炎、丹毒、感染潰瘍、熱傷、大膿瘍)、又は抗菌薬の静脈内投与を必要とする全身性の徴候及び/又は症状を伴う皮膚・軟部組織感染症で、複雑性皮膚・軟部組織感染症関連の臨床徴候及び症状[疼痛、触診に対する圧痛、腋窩体温>37.0℃、口腔内体温>37.5℃、直腸、額部又は鼓膜体温>38℃、白血球数>12,000/mm3又は桿状核球≥10%、腫脹又は硬結、紅斑(創傷又は膿瘍の境界から>1cm)、膿形成、CRP>基準値上限のうち、3項目以上]を有する患者
〈菌血症〉
スクリーニング時の血液培養で、1つ以上の血液培養用ボトルからグラム陽性球菌の菌種が同定された患者(菌血症診断例)、又はグラム染色によりグラム陽性球菌が検出された患者(菌血症の疑い例)
例数:〈複雑性皮膚・軟部組織感染症〉
安全性解析対象例数:14例 有効性解析対象例数(MITT-MRSA※2):7例
〈菌血症〉
安全性解析対象例数:4例 有効性解析対象例数(MITT-MRSA):1例
方法:疾患及び年齢群に基づく用量のキュビシン®を点滴静注した。
〈複雑性皮膚・軟部組織感染症〉
年齢群に応じてキュビシン®を以下の用法及び用量で5~14日間点滴静注した。

〈菌血症〉
年齢群に応じてキュビシン®を以下の用法及び用量で5~42日間点滴静注した。
評価項目:   〈主要評価項目(安全性)〉
有害事象、重篤な有害事象、臨床検査値(血清クレアチンホスホキナーゼ値を含む)、身体所見、神経学的検査及び運動能力の発達に関する評価(6歳以下)、バイタルサイン
〈副次評価項目(有効性)〉
治癒判定時の臨床効果(治験担当医師判定)、治癒判定時の細菌学的効果(治験担当医師判定)
〈副次評価項目(薬物動態)〉
AUC0-24hr、Cmax、Tmax、CLss、Vss及びt1/2等を含む薬物動態パラメータ
解析計画:本試験では正式な仮説検定は計画されず、記述統計量を用いて評価した。
主要目的である安全性の解析は、安全性解析対象集団※3を対象とした。有害事象の要約(有害事象、副作用、重篤な有害事象、重篤な副作用、有害事象による治験薬投与の中止など)、並びに個別の有害事象(器官別大分類及び基本語)について、発現した患者の割合を計算した。
有効性の主な解析集団は、MITT-MRSAとした。臨床効果及び細菌学的効果の主たる評価時点は治癒判定時とした。臨床効果及び細菌学的効果が「有効」と判定された患者の割合を時点ごとに計算した。解析は感染症の種類(複雑性皮膚・軟部組織感染症、菌血症)ごとに行った。

※1 治癒判定時:治験薬投与終了7日後(±3日)
※2 MITT-MRSA:MITT(Modified Intention to Treat)のうち、ベースライン時にMRSAが検出された患者
※3 安全性解析対象集団:治験薬(キュビシン®)の投与を1回以上受けた全ての患者

キュビシン®の4. 効能又は効果
〈適応菌種〉ダプトマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
〈適応症〉敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染

※感染性心内膜炎は、小児では適応外

キュビシン®の5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)
〈感染性心内膜炎〉
5.3 成人の右心系感染性心内膜炎にのみ使用すること。左心系感染性心内膜炎に対して、国内での使用経験はなく、海外でも有効性は認められていない。また、小児の感染性心内膜炎に対する有効性及び安全性は確認されていない。

■安全性[主要評価項目]

1)有害事象
安全性解析対象集団での有害事象の発現割合は、全体で55.6%[複雑性皮膚・軟部組織感染症:14例中6例(42.9%)、菌血症:4例中4例]でした。全体で2例以上に報告された有害事象は、発熱及び発疹(各2例)でした。

2)副作用
副作用は、複雑性皮膚・軟部組織感染症及び菌血症において、18例中2例(11.1%)に認められ、複雑性皮膚・軟部組織感染症では、14例中1例(7.1%)に血小板数増加、菌血症では、4例中1例に注入部位腫脹が認められました。
本試験において、重篤な副作用及び投与中止に至った副作用、副作用による死亡は認められませんでした。

有害事象及び副作用の概要(安全性解析対象集団)

■治癒判定時の臨床効果[副次評価項目]

複雑性皮膚・軟部組織感染症
MITTのうちベースライン時にMRSA感染が確認された患者(MITT-MRSA)における臨床効果は、7例中6例が有効と判定されました。

菌血症
MITTのうちベースライン時にMRSA感染が確認された患者(MITT-MRSA)における臨床効果は、1例中1例が有効と判定されました。

治癒判定時の臨床効果(MITT-MRSA、治験担当医師判定)

有効性の判定基準:〈臨床効果〉(治験担当医師判定)
治験担当医師が治験薬投与開始前の感染症の症状及び徴候を、投与終了時※1及び治癒判定時※2の症状及び徴候と比較し、治癒、改善、治癒せず又は評価不能の4段階で判定した。治癒及び改善を有効とした。

※1 投与終了時:治験薬の最終投与日(+1日)
※2 治癒判定時:治験薬投与終了7日後(±3日)

■治癒判定時の細菌学的効果[副次評価項目]

複雑性皮膚・軟部組織感染症
MITTのうちベースライン時にMRSA感染が確認された患者(MITT-MRSA)における細菌学的効果は、7例中5例が有効と判定されました。

菌血症
MITTのうちベースライン時にMRSA感染が確認された患者(MITT-MRSA)における細菌学的効果は、1例中1例が有効と判定されました。

治癒判定時の細菌学的効果(MITT-MRSA、治験担当医師判定)

有効性の判定基準:〈細菌学的効果〉(治験担当医師判定)
原因菌別の細菌学的効果は、治験担当医師がベースライン時の原因菌について、投与終了時※1及び治癒判定時※2に原因菌別の細菌学的効果を消失、推定消失、推定存続、存続又は評価不能の5段階で判定した。消失及び推定消失を細菌学的有効とした。
患者別の細菌学的効果は、患者の全てのベースライン時原因菌に対する原因菌別の細菌学的効果及び治験薬投与開始後のグラム陽性菌による重複感染※3及び新規感染※4の有無に基づき、有効、無効又は評価不能の3段階で判定した。

※1 投与終了時:治験薬の最終投与日(+1日)
※2 治癒判定時:治験薬投与終了7日後(±3日)
※3 ベースライン時に検出された感染の原因菌とは異なるグラム陽性の原因菌を治療期に新たに検出
※4 ベースライン時に検出された感染の原因菌又は重複感染の原因菌とは異なるグラム陽性の原因菌を治験薬投与終了時以降に新たに検出

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