製品基本Q&A
製品基本Q&A
ブリディオン®(スガマデクスナトリウム)
製品情報
本剤の電子添文には、以下のとおり記載されています。
4.効能又は効果
ロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物による筋弛緩状態からの回復
5.効能又は効果に関連する使用上の注意
本剤はロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物以外の筋弛緩剤による筋弛緩状態からの回復に対しては使用しないこと。
<引用>
電子添文
スガマデクスはγ-シクロデキストリンの各糖分子に側鎖(チオプロピオン酸)を付加して、空洞の長さを伸ばした構造を有する化合物です。この修飾によりロクロニウム分子のステロイド環全体の包接が可能となり、スガマデクスとロクロニウム間での疎水結合も増強されました。さらにロクロニウムが有する四級アミンの正の電荷とスガマデクスの側鎖末端にあるカルボキシル基の負の電荷との間で静電的な力も加わり、γ-シクロデキストリンと比較してスガマデクスではロクロニウムとの親和性が約1000倍に高まりました(それぞれ1.32×104M-1及び15.1×106M-1)。
なお、スガマデクスがシナプス間隙に到達するかどうかは不明ですが、血液中でスガマデクスがロクロニウム分子と1:1の複合体を形成することで、血液中の遊離ロクロニウムの濃度を速やかに減少させます。そして、ロクロニウムの濃度勾配が血管内外で起こることにより、神経筋接合部のロクロニウムが血管内に戻されて、ロクロニウムの作用部位濃度が減少して、速やかに筋弛緩状態から回復すると考えられています。
<引用>
インタビューフォーム
使用方法
本剤の電子添文には、以下のとおり記載されています。
6.用法及び用量
通常、成人にはスガマデクスとして、浅い筋弛緩状態(筋弛緩モニターにおいて四連(TOF)刺激による2回目の収縮反応(T2)の再出現を確認した後)では1回2mg/kgを、深い筋弛緩状態(筋弛緩モニターにおいてポスト・テタニック・カウント(PTC)刺激による1〜2回の単収縮反応(1-2PTC)の出現を確認した後)では1回4mg/kgを静脈内投与する。また、ロクロニウム臭化物の挿管用量投与直後に緊急に筋弛緩状態からの回復を必要とする場合、通常、成人にはスガマデクスとして、ロクロニウム臭化物投与3分後を目安に1回16mg/kgを静脈内投与する。
7.用法及び用量に関連する注意
7.1 筋弛緩モニターによる確認ができない場合は、十分な自発呼吸の発現を確認した後はスガマデクスとして2mg/kgを投与すること。十分な自発呼吸の発現を確認する前のロクロニウム臭化物による筋弛緩に対してはスガマデクスとして4mg/kgを投与するが、筋弛緩状態からの回復が遅延することがあるため、患者の状態を十分に観察すること。なお、筋弛緩モニターによる確認ができない場合の自発呼吸の発現を確認する前のベクロニウム臭化物による筋弛緩に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていない。
7.2 ベクロニウム臭化物の挿管用量投与直後に緊急に筋弛緩状態からの回復を必要とする場合の本剤の有効性及び安全性は確立していない。
<引用>
電子添文
本剤の電子添文には、以下のとおり記載されています。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.8 高齢者
筋弛緩からの回復が遅延するおそれがある。外国の臨床試験において、高齢者で回復時間がわずかに遅延する傾向が認められた。[17.1.3参照]
<引用>
電子添文
本剤の電子添文には、以下のとおり記載されています。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
<引用>
電子添文
本剤は腎排泄されるため、腎機能障害患者では排泄が遅延するおそれがあります(1)。
<透析による除去>
臨床試験において、本剤の血漿中濃度は high-flux膜による平均6時間の透析により約70%減少しました。low-flux膜では本剤は除去されませんでした(1)。
<引用>
(1)電子添文
肥満患者においても他の患者と同様、実体重換算での用量を投与してください。
理想体重換算では回復に時間を要します(1)(2)。
<引用>
(1)Van Lancker P et al. Anaesthesia. 2011;66:721-725.
(2)Llaurado S et al. Anesthesiology. 2012;117(1):93-98.
本剤の推奨用量は、以下の要件を満たすものとしました(1)。
・不十分な回復(筋弛緩の残存)の可能性を最小にする
・自然回復及び申請時点で使用可能な拮抗薬と比べて回復時間を短縮する
・推奨用量の選択を制限し、混同の可能性を最小にする
臨床試験の結果から、ロクロニウム臭化物及びベクロニウム臭化物の浅い筋弛緩作用 (T2再出現時) に対して、本剤の2.0 mg/kg投与で速い拮抗作用が示されました。また、深い筋弛緩作用 (1-2PTC時) に対しては本剤の 4.0 mg/kg投与で速い拮抗作用が示されました。緊急時 (ロクロニウム挿管用量を投与後3分) では、本剤の16.0 mg/kg投与で速い拮抗作用が示されました。
また、筋弛緩薬挿管用量、維持投与、麻酔法及び特殊な母集団によって回復時間に問題となるような差は認められず、これらの条件による用量調節を必要としないことが示されました。
<引用>
(1) インタビューフォーム Ⅴ.治療に関する項目 3.用法及び用量 (2) 用法及び用量の設定経緯・根拠
安全性
本剤の電子添文には、以下のとおり記載されています。
11. 副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1 重大な副作用
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
潮紅、蕁麻疹、紅斑性皮疹、喘鳴、血圧低下、頻脈、舌腫脹、咽頭浮腫等を起こすことがある。
注) 外国人健康成人に本剤を非麻酔下で投与したとき、アナフィラキシーを含む過敏反応は16mg/kg投与群で14/148例(9.5%)、4mg/kg投与群で10/151例(6.6%)認められた。
11.1.2 心室細動、心室頻拍、心停止、高度徐脈(いずれも頻度不明)[8.8参照]
11.1.3 冠動脈攣縮(頻度不明)
11.1.4 気管支痙攣(0.3%未満)[9.1.4参照]
11.2 その他の副作用
1~5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
消化器 | 悪心・嘔吐 | ||
精神神経系 | 浮動性めまい、味覚異常 | ||
循環器 | 頻脈、徐脈、高血圧、低血圧 | ||
呼吸器 | 咳嗽 | ||
泌尿器 | β-N-アセチル-D-グルコサミニダーゼ増加、 尿中アルブミン陽性、 尿中β2-ミクログロブリン増加 | ||
骨格筋・ 結合組織 | 筋力低下 | ||
過敏症 | 潮紅、そう痒、発疹 | ||
その他 | 悪寒、体動 |
<引用>
電子添文
ブリディオン®は、筋弛緩の深さと体重に応じて投与量を設定する必要があり、投与量が不十分な場合、筋弛緩の再発(再クラーレ化) が起こる可能性があります。
当社としては、適正使用推進のため 「ブリディオン®に関する大切なお知らせ(1)」を作成し、筋弛緩状態の深さと体重に応じて投与量を設定していただくよう注意喚起しています。
<引用>
(1)ブリディオンに関する大切なお知らせ
https://www.msdconnect.jp/wp-content/uploads/sites/5/2023/12/bridion_attention_call.pdf
包接体からロクロニウムがはずれて、別の薬剤が置き換わる可能性はあります。
投与された薬剤のブリディオン®に対する親和性やその薬剤の血中濃度に依存します。
投与後の濃度及び親和性を考慮してシミュレーションを行った結果、置換の可能性が考えられる薬剤としては、トレミフェン、フルクロキサシリン、フシジン酸があります(1)。
<引用>
(1)Zwiers A et al. Clin Drug Investig. 2011;31(2):101-111
その他
本剤の電子添文には以下のとおり、記載されています。
14. 適用上の注意
14.1 薬剤投与時の注意
他の薬剤と併用する場合には、別々の投与経路で使用するか、又は同一点滴回路を使用する場合は回路内を生理食塩水等の中性溶液を用いて洗浄するなど混合しないようにすること。なお、オンダンセトロン塩酸塩水和物、ベラパミル塩酸塩及びラニチジン塩酸塩との混合において、配合変化が報告されている。
<引用>
電子添文
本剤の電子添文には以下のとおり、記載されています。
貯法:室温保存
有効期間:3年
20. 取扱い上の注意
外箱開封後は遮光して保存すること。
<引用>
電子添文
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