PATENT-1試験におけるCTD-PAHサブグループ解析結果
PAHに対するアデムパス®の臨床成績
PATENT-1試験におけるCTD-PAHサブグループ解析結果
承認時評価資料:バイエル薬品社内資料[肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした第Ⅲ相試験]
Ghofrani HA et al. N Engl J Med. 369, 330(2013)(COI:本研究はバイエル社の資金により実施された、著者にバイエル社員(3名)を含む、著者にバイエル社より講演料等を受領している者を含む)
Humbert M et al. Ann Rheum Dis. 76, 422(2017)(COI:本研究はバイエル社の資金により実施された、著者にバイエル社員(2名)を含む、著者にバイエル社より講演料等を受領している者を含む)
試験概要
PAH(pulmonary arterial hypertension):肺動脈性肺高血圧症
PVR(pulmonary vascular resistance):肺血管抵抗
TID:1日3回
NT-proBNP(N-terminal prohormone of brain natriuretic peptide):ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント
†探索的用量群は比較対照群ではないため、有効性評価項目の結果は記載していない。
※ 用量調節時の指標として用いる収縮期血圧について、第Ⅲ相試験ではその基準値を“95mmHg以上”、“90~94mmHg”及び“90mmHg未満”に分けたが、[承認用法及び用量]では日常臨床においてより実用的なものにするため、“95mmHg以上”と“95mmHg未満”の2つに分けた。
6. 用法及び用量
用量調節期:通常、成人にはリオシグアトとして1回1.0mg 1日3回経口投与から開始する。2週間継続して収縮期血圧が95mmHg以上で低血圧症状を示さない場合には、2週間間隔で1回用量を0.5mgずつ増量するが、最高用量は1回2.5mg 1日3回までとする。収縮期血圧が95mmHg未満でも低血圧症状を示さない場合は、現行の用量を維持するが、低血圧症状を示す場合には、1回用量を0.5mgずつ減量する。
用量維持期:用量調節期に決定した用量を維持する。用量維持期においても、最高用量は1回2.5mg 1日3回までとし、低血圧症状を示すなど、忍容性がない場合には、1回用量を0.5mgずつ減量する。
PAHの臨床分類、CTD-PAH原疾患の内訳
承認時評価資料:バイエル薬品社内資料[肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした第Ⅲ相試験]
Humbert M et al. Ann Rheum Dis. 76, 422(2017)より作成
有効性
6分間歩行距離の第12週におけるベースラインからの平均変化量は、アデムパス®用量調節群29.6m、プラセボ群-5.6mであり、アデムパス®用量調節群はプラセボ群に比べて有意な改善を示しました(最小二乗平均値の差35.78[95%信頼区間:20.06~51.51]a、p<0.0001b)。 (12週間後)
主要評価項目:6分間歩行距離のベースラインから第12週までの平均変化量(検証的解析結果)
ITT解析による評価
a: ベースライン値を共変量、投与群、割付け時の層別因子及び国/地域を主効果とした共分散分析で算出した最小二乗平均値の差及び95%信頼区間
b:層別因子(未治療/既治療)及び国/地域を層とした層別Wilcoxon検定
承認時評価資料:バイエル薬品社内資料[肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした第Ⅲ相試験]
PVRの第12週におけるベースラインからの平均変化量は、アデムパス®用量調節群-223.29dyn・sec・cm-5、プラセボ群-8.89dyn・sec・cm-5であり、アデムパス®用量調節群はプラセボ群に比べて有意な改善を示しました(最小二乗平均値の差-225.72[95%信頼区間:-281.37~-170.08]a、p<0.0001b)。
副次的評価項目:PVRのベースラインから第12週までの平均変化量
ITT解析による評価 平均値(ベースラインからの変化量)
a:ベースライン値を共変量、投与群、割付け時の層別因子及び国/地域を主効果とした共分散分析で算出した最小二乗平均値の差及び95%信頼区間
b:層別因子(未治療/既治療)及び国/地域を層とした層別Wilcoxon検定
承認時評価資料:バイエル薬品社内資料[肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした第Ⅲ相試験]
部分集団解析
PVRの部分集団別におけるベースラインからの変化量は以下の通りでした。
PVRの部分集団別におけるベースラインから12週後までの変化量
承認時評価資料:バイエル薬品社内資料[肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした第Ⅲ相試験]
5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)
〈肺動脈性肺高血圧症〉
5.2 肺動脈性肺高血圧症のWHO機能分類クラスⅣにおける有効性及び安全性は確立していない。
安全性
全ての副作用発現率は、アデムパス®用量調節群で63.8%(162/254例)、プラセボ群で52.4%(66/126例)、アデムパス®探索的用量群で61.9%(39/63例)でした。
副作用(全体集団)
安全性解析対象集団
MedDRA version 15.0
副作用:治験薬と関連のある有害事象/治験薬投与下
重篤な副作用は、アデムパス®用量調節群で8例(3.1%)、プラセボ群で5例(4.0%)、アデムパス®探索的用量群で2例(3.2%)に認められました。その内訳は、失神がアデムパス®用量調節群で3例及びプラセボ群で1例、失神寸前の状態がアデムパス®用量調節群及びプラセボ群で各1例、肝酵素上昇、浮動性めまい、急性腎不全及び低血圧がアデムパス®用量調節群で各1例、下痢、呼吸困難及び肺動脈性肺高血圧症がプラセボ群で各1例、胃炎及び吐血がアデムパス®探索的用量群で各1例でした。
投与中止に至った副作用はアデムパス®用量調節群で6例(2.4%)、プラセボ群で5例(4.0%)に認められました。その内訳は、失神がアデムパス®用量調節群及びプラセボ群で各1例、上室性頻脈、食道浮腫、食道痛、全身性浮腫、肝酵素上昇、頚部痛、急性腎不全、低血圧がアデムパス®用量調節群で各1例、下痢、呼吸困難、低酸素症、肺動脈性肺高血圧症がプラセボ群で各1例でした。死亡に至った副作用は認められませんでした。
承認時評価資料:バイエル薬品社内資料[肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした第Ⅲ相試験]
CTD-PAH患者における全ての有害事象発現率は、アデムパス®投与群で95%(82/86例)、プラセボ群で96%(24/25例)でした。
有害事象
n(%)
*リオシグアト投与群:リオシグアト用量調節群とリオシグアト探索的用量群の患者を含む
CTD‐PAH患者において、プラセボを投与したSSc-PAH患者の1例に、PAHの悪化による死亡が認められました。有害事象による中止及び重篤な有害事象による中止の内訳については文献に記載がありませんでした。
Humbert M et al. Ann Rheum Dis. 76, 422(2017)