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国際共同第Ⅳ相並行群間比較試験(REPLACE試験)

PDE5阻害薬からアデムパス®への切り替え後の有用性を検討した試験

国際共同第Ⅳ相並行群間比較試験(REPLACE試験)

Hoeper MM et al. Lancet Respir Med. 9, 573(2021)(COI:本試験はMSD社及びバイエル社の資金により実施された、著者にバイエル社員(4名)を含む、著者にMSD社又はバイエル社より講演料等を受領している者を含む)

プラセボ対照二重盲検比較試験(国際共同第Ⅲ相試験 PATENT-1試験)

承認時評価資料:バイエル薬品社内資料[肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした第Ⅲ相試験]
Ghofrani HA et al. N Engl J Med. 369, 330(2013)(COI:本研究はバイエル社の資金により実施された、著者にバイエル社員(3名)を含む、著者にバイエル社より講演料等を受領している者を含む)

6分間歩行距離のベースラインから第12週までの平均変化量(主要評価項目)(検証的解析結果)

6分間歩行距離の第12週におけるベースラインからの平均変化量は、アデムパス®用量調節群29.6m、プラセボ群-5.6mであり、アデムパス®用量調節群はプラセボ群に比べて有意な改善を示しました(最小二乗平均値の差35.78[95%信頼区間:20.06~51.51]a、p<0.0001b)。 (12週間後)

国際共同第Ⅲ相試験:有効性検証試験(PATENT-1試験)主要評価項目:6分間歩行距離のベースラインから第12週までの平均変化量(検証的解析結果)

ITT解析による評価
a:ベースライン値を共変量、投与群、割付け時の層別因子及び国/地域を主効果とした共分散分析で算出した最小二乗平均値の差及び95%信頼区間
b:層別因子(未治療/既治療)及び国/地域を層とした層別Wilcoxon検定

安全性

本試験において、副作用はアデムパス®用量調節群162/254例(63.8%)、プラセボ群66/126例(52.4%)に認められ、主な副作用(いずれかの群で5%以上に発現)は頭痛[アデムパス®用量調節群51例(20.1)、プラセボ群19例(15.1%)、以降同順)、消化不良[42例(16.5%)、9例(7.1%)」、浮動性めまい[26例(10.2%)、12例(9.5%)]、低血圧[22例(8.7%)、2例(1.6%)]、悪心[21例(8.3%)、8例(6.3%)]、動悸[13例(5.1%)、3例(2.4%)]、下痢[10例(3.9%)、8例(6.3%)]、潮紅[5例(2.0%)、7例(5.6%)]でした。
重篤な副作用は、アデムパス®用量調節群で8例(3.1%)、プラセボ群で5例(4.0%)、アデムパス®探索的用量群で2例(3.2%)に認められました。その内訳は、失神がアデムパス®用量調節群で3例及びプラセボ群で1例、失神寸前の状態がアデムパス®用量調節群及びプラセボ群で各1例、肝酵素上昇、浮動性めまい、急性腎不全及び低血圧がアデムパス®用量調節群で各1例、下痢、呼吸困難及び肺動脈性肺高血圧症がプラセボ群で各1例、胃炎及び吐血がアデムパス®探索的用量群で各1例でした。
投与中止に至った副作用はアデムパス®用量調節群で6例(2.4%)、プラセボ群で5例(4.0%)に認められました。死亡に至った副作用は認められませんでした。その内訳は、失神がアデムパス®用量調節群及びプラセボ群で各1例、上室性頻脈、食道浮腫、食道痛、全身性浮腫、肝酵素上昇、頚部痛、急性腎不全、低血圧がアデムパス®用量調節群で各1例、下痢、呼吸困難、低酸素症、肺動脈性肺高血圧症がプラセボ群で各1例でした。

試験概要

目的 肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者におけるアデムパス®の有効性及び安全性を検討
試験デザイン 多施設・国際共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験
対象 未治療又はエンドセリン受容体拮抗薬/プロスタサイクリン誘導体(静注以外)による治療を受けているPAH患者443例(日本人26例を含む)
試験方法 アデムパス®2.5mg群(用量調節群)、プラセボ群又はアデムパス® 1.5mg群(探索的用量群)に4:2:1の割合で割付けた後、用量調節期(8週間)としてアデムパス®1.0mg又はプラセボを1日3回投与より開始し、患者の忍容性に合わせて2週間ごとに1回0.5mgずつ、最高1回2.5mg(探索的用量群では1.5mg)、1日3回まで増量した。
その後、主治療期(4週間)として用量調節期終了時における用量を盲検下で投与し、12週間後の主要・副次的評価項目の分析を行った。
評価項目 <主要評価項目>6分間歩行距離の第12週におけるベースラインからの変化量(検証的評価項目)
解析計画 主要評価項目において、アデムパス®用量調節群とプラセボ群の比較には、ベースラインの6分間歩行距離を共変量、投与群、割付け時の層別因子(未治療/既治療)及び国/地域を主効果とした共分散分析を用いた。共分散分析の残差の正規性をShapiro-Wilk検定により検討し、その結果が有意水準5%で有意な場合には、層別因子及び国/地域を層とした層別Wilcoxon検定を用いた。第12週の欠測値はLOCFで補完した。ただし、死亡・臨床的悪化で中止来院がなかった、あるいは中止来院時の測定値がなかった場合は最悪値で補完した。

※探索的用量群は比較対照群ではないため、有効性評価項目の結果は記載していない。


試験概要

国際共同第Ⅳ相並行群間比較試験(REPLACE試験) 試験概要

試験デザイン

国際共同第Ⅳ相並行群間比較試験(REPLACE試験) 試験デザイン

※1 エンドセリン受容体拮抗薬は継続可能
※2 アデムパス®は1回1.0mg 1日3回経口投与から開始。 2週間継続して収縮期血圧が95mmHg以上で低血圧症状を示さない場合は2週間間隔で1回用量を0.5mgずつ増量するが、最高用量は1回2.5mg 1日3回までとする。収縮期血圧が95mmHg未満でも低血圧症状を示さない場合は現行の用量を維持するが、低血圧症状を示す場合は1回用量を0.5mgずつ減量する。
※3 シルデナフィルの国内承認用法及び用量は成人では1回20mgを1日3回投与である。

Hoeper MM et al. Lancet Respir Med. 9, 573(2021)より作図

患者内訳

国際共同第Ⅳ相並行群間比較試験(REPLACE試験)患者内訳

24週間の治療期間と30日間の安全性追跡期を含む。
*1例は主要評価項目のベースライン時評価に欠測あり(SAF解析 114例、FAS解析 113例)

Hoeper MM et al. Lancet Respir Med. 9, 573(2021)
Reprinted from The Lancet Respir Med, S2213-2600(20)30532-4, Hoeper MM, et al., Switching to riociguat versus maintenance therapy with phosphodiesterase-5 inhibitors in patients with pulmonary arterial hypertension (REPLACE): a multicentre, open-label, randomised controlled trial, Copyright © 2021 with permission from Elsevier.

患者背景

国際共同第Ⅳ相並行群間比較試験(REPLACE試験)患者背景

特に表示のない項目はn(%)を示す。  *n=108    FAS解析
IPAH:特発性PAH、HPAH:遺伝性PAH、CTD:結合組織病、PoPH:門脈肺高血圧症、CHD:先天性心疾患

Hoeper MM et al. Lancet Respir Med. 9, 573(2021)
Reprinted from The Lancet Respir Med, S2213-2600(20)30532-4, Hoeper MM, et al., Switching to riociguat versus maintenance therapy with phosphodiesterase-5 inhibitors in patients with pulmonary arterial hypertension (REPLACE): a multicentre, open-label, randomised controlled trial, Copyright © 2021 with permission from Elsevier.


有効性

24週後に複合エンドポイントに基づく十分な臨床的改善を示した患者の割合において、アデムパス®群はPDE5阻害薬群と比較して有意な改善を示しました(p=0.0007、層別Mantel-Haenszel検定)。

主要評価項目:第24週における複合エンドポイントに基づく十分な臨床的改善が示された患者の割合

国際共同第Ⅳ相並行群間比較試験(REPLACE試験)主要評価項目:第24週における複合エンドポイントに基づく十分な臨床的改善が示された患者の割合

*PAH臨床分類を層とした層別Mantel-Haenszel検定
FAS解析

Hoeper MM et al. Lancet Respir Med. 9, 573(2021)
Reprinted from The Lancet Respir Med, S2213-2600(20)30532-4, Hoeper MM, et al., Switching to riociguat versus maintenance therapy with phosphodiesterase-5 inhibitors in patients with pulmonary arterial hypertension (REPLACE): a multicentre, open-label, randomised controlled trial, Copyright © 2021 with permission from Elsevier.

24週後におけるアデムパス®群の6分間歩行距離のベースラインからの変化は+36m、NT-proBNPのベースラインからの変化量は88pg/mLでした。

副次評価項目:ベースラインから第24週までの6分間歩行距離、NT-proBNPの変化

6分間歩行距離の変化

国際共同第Ⅳ相並行群間比較試験(REPLACE試験)副次評価項目:ベースラインから第24週までの6分間歩行距離の変化

24週時の治療効果の差(95%信頼区間):23m(5~40); p=0.054*
* PAH臨床分類を層とした層別Wilcoxon検定(vs. PDE5阻害薬)
平均値±SEM

NT-proBNP値の変化

国際共同第Ⅳ相並行群間比較試験(REPLACE試験)副次評価項目:ベースラインから第24週までのNT-proBNPの変化

ボックスの両端は第一四分位と第三四分位、ボックス内の〇は平均値、ラインは中央値を示す。ひげは範囲(1.5×IQR以内)を示す。
*はひげを超える外れ値を示す。

Hoeper MM et al. Lancet Respir Med. 9, 573(2021)
Reprinted from The Lancet Respir Med, S2213-2600(20)30532-4, Hoeper MM, et al., Switching to riociguat versus maintenance therapy with phosphodiesterase-5 inhibitors in patients with pulmonary arterial hypertension (REPLACE): a multicentre, open-label, randomised controlled trial, Copyright © 2021 with permission from Elsevier.

アデムパス®群で24週後においてWHO機能分類が改善した割合は44%でした。
臨床的悪化までの期間について、アデムパス®群のPDE5阻害薬群に対するハザード比は0.10(95%信頼区間:0.013~0.79)でした。

副次評価項目:ベースラインから第24週までのWHO機能分類の変化、臨床的悪化までの期間

24週後のWHO機能分類の患者割合

国際共同第Ⅳ相並行群間比較試験(REPLACE試験)副次評価項目:ベースラインから第24週までのWHO機能分類の変化

平均値の差(95%信頼区間):
ー0.26(ー0.42~ー0.11)

臨床的悪化までの期間(Kaplan-Meier)

国際共同第Ⅳ相並行群間比較試験(REPLACE試験)副次評価項目:ベースラインから第24週までの臨床的悪化までの期間

ハザード比(95%信頼区間):0.10(0.013~0.79)

Hoeper MM et al. Lancet Respir Med. 9, 573(2021)
Reprinted from The Lancet Respir Med, S2213-2600(20)30532-4, Hoeper MM, et al., Switching to riociguat versus maintenance therapy with phosphodiesterase-5 inhibitors in patients with pulmonary arterial hypertension (REPLACE): a multicentre, open-label, randomised controlled trial, Copyright © 2021 with permission from Elsevier.


安全性

有害事象発現率はアデムパス®群で71%、PDE5阻害薬群で66%でした。

安全性解析対象集団、MedDRA version 17.1

Hoeper MM et al. Lancet Respir Med. 9, 573(2021)