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小児(海外第Ⅳ相試験/菌血症)

小児(海外第Ⅳ相試験/菌血症)

S. aureus による菌血症の1~17歳の外国人小児患者(海外データ)

海外第Ⅳ相試験の対象には一部国内承認外の適応菌種が含まれるデータで評価され承認されたため、国内で承認されている効能又は効果と異なるデータも紹介しています。

承認時評価資料:小児を対象とした海外第Ⅳ相試験(005試験/DAP-PEDBAC-11-02試験)
Arrieta AC,et al.,Antimicrobial Reports.2018;37(9):893-900.
[利益相反:本試験はMSFの研究費により実施された。Arrieta AC、Bradley JSはMSDから研究資金を受領。Popejoy, MW、Bensaci M、Grandhi, A、Du L、Kartsonis NAはMSDの子会社の社員。
Bokesch P、Glasser C、Du L、Patino H、Kartsonis NAは、キュビスト社(現MSD)の社員。]

試験概要

試験:多施設共同、無作為化、評価者盲検※1、実薬対照比較試験
目的:主要目的:黄色ブドウ球菌による菌血症を有する1~17歳の小児患者を対象に、キュビシン®を静脈内投与した際の安全性を標準治療と比較検討する。
副次目的:・黄色ブドウ球菌による菌血症を有する1~17歳の小児患者を対象に、キュビシン®を静脈内投与した際の有効性を標準治療と比較する。
・菌血症を有する1~17歳の小児患者を対象に、曝露-応答関係について探索するため、投与前(Ctrough)及び投与後(Cmax)のキュビシン®の血漿中濃度を測定し、曝露量を決定する。
対象:黄色ブドウ球菌による菌血症と診断された又は疑われる、腎機能障害[推定クレアチニンクリアランス(CLcr)<50mL/min/1.73m2]のない1~17歳の外国人小児患者
例数:安全性解析対象例数:キュビシン®群55例、標準治療群26例
有効性解析対象例数(mMITT※2):キュビシン®群51例、標準治療群22例
方法:患者を年齢群で層別し(12~17歳、7~11歳、1~6歳)、キュビシン®群又は標準治療群に2:1の比で無作為に割り付けた。また、Day5~7までに患者を複雑性菌血症※3又は非複雑性菌血症※4に分類し、年齢に基づく用量のキュビシン®又は標準治療薬を、菌血症の分類に応じて5~42日間点滴静注した。
用法及び用量
キュビシン®群:

標準治療群:推奨される標準治療は、バンコマイシン、クリンダマイシン、半合成ペニシリン(nafcillin:国内未承認、オキサシリン及びクロキサシリン:国内販売中止)又は第一世代セファロスポリンとし、治験担当医師が適切と判断した標準治療薬を点滴静注した。
投与期間

† 各地域の事情に応じて、自宅での投与も一部可能であった。経口治験薬投与への切替えは推奨されなかったが、治験実施医療機関の治療方針により可能な場合は許容した。
§ 12歳未満の小児患者で、静脈内投与を開始後に複雑性菌血症に分類された患者、及びDay28までに効果が認められたが、追加の静脈内投与が必要である患者は、治療のベネフィットが潜在的な安全性リスクを上回る場合はキュビシン®又は標準治療薬の静脈内投与を継続することができた。
評価項目:   〈主要評価項目(安全性)〉
有害事象、重篤な有害事象、臨床検査値(血清クレアチンホスホキナーゼ値を含む)、身体所見及び神経学的所見の変化、バイタルサイン
〈副次評価項目(有効性)〉
治癒判定時※5の臨床効果(盲検治験担当医師判定)、治癒判定時の細菌学的効果、総合治療効果
解析計画:本試験では正式な仮説検定は計画されず、記述統計量を用いて投与群間の差を評価した。
主要目的である安全性の解析は、安全性解析対象集団※6を対象とした。全ての安全性パラメータの臨床的検討と解釈により、安全性を評価した。安全性データは、投与群別、年齢群別に集計した。
有効性の主な解析集団は、mMITT集団とした。治癒判定時の臨床効果、患者別の細菌学的効果、原因菌別の細菌学的効果及び総合治療効果の有効率について、群間差の95%信頼区間を算出した。副次評価項目は、投与群別、年齢群別に解析した。
また、ベースライン時の原因菌(MSSA、MRSA)別、菌血症の分類(複雑性、非複雑性)別及び投与経路[経口治験薬切替えなし(静注治験薬のみ)、切替えあり(静注治験薬+経口治験薬)]別のサブグループ解析を実施した。

※1 評価者盲検:有効性及び安全性評価におけるバイアス回避のため、各医療機関では、治験開始前に盲検治験担当医師(blinded Evaluator)が指名された。盲検治験担当医師は、治験に関する以下の項目について対応し、その他の治験関連項目は、非盲検の治験担当医師が対応した。
・有害事象と治験薬との因果関係判定
・試験期間中[治験薬の投与開始前、静注治験薬の投与期間中は毎日、治験薬投与終了時(静注治験薬の投与終了時及び経口治験薬の投与終了時)及び治癒判定時]の主要感染部位の症状及び徴候の評価
・静注治験薬の投与期間の決定(当該患者の臨床効果に基づき、静注治験薬の投与を中止すべきか判断)
・静注治験薬から経口治験薬への移行に関する判断(必要な場合)
・当該患者の臨床効果の判定(治験薬投与開始前の主要感染部位の症状及び徴候を、治験薬投与終了時及び治癒判定時の症状及び徴候と比較し、判定する)
・当該患者の細菌学的効果の判定(治験薬投与開始前の原因菌と治験薬投与後の培養結果を比較し、判定する)

※2 mMITT:MITT(Modified Intention to Treat)のうち、ベースライン時に黄色ブドウ球菌による菌血症が確認された患者集団
※3 複雑性菌血症:治験薬投与開始後2~4日に採取した検体の培養結果が黄色ブドウ球菌陽性、治験薬投与開始後72時間の発熱、感染巣の転移、心内膜炎、化膿性関節炎もしくは骨髄炎、深部組織膿瘍、又は埋込み型機器に伴う感染のいずれかに該当した菌血症
※4 非複雑性菌血症:治験薬投与開始後2~4日に採取した検体の培養結果が黄色ブドウ球菌陽性でなく、治験薬投与開始後72時間の発熱なし、かつ感染巣の転移及び心内膜炎が認められず、埋込み型機器を有さない菌血症
※5 治癒判定時:治験薬(静注治験薬及び経口治験薬)の最終投与後7~14日
※6 安全性解析対象集団:治験薬(キュビシン®又は標準治療薬)を静脈内投与された全ての患者。無作為割付の内容にかかわらず、実際に投与された治験薬に基づき、集計された。

キュビシン®の4. 効能又は効果
〈適応菌種〉ダプトマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
〈適応症〉敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染

※感染性心内膜炎は、小児では適応外

キュビシン®の5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)
〈感染性心内膜炎〉

5.3 成人の右心系感染性心内膜炎にのみ使用すること。左心系感染性心内膜炎に対して、国内での使用経験はなく、海外でも有効性は認められていない。また、小児の感染性心内膜炎に対する有効性及び安全性は確認されていない。

海外臨床試験をもとに承認されており、副次評価項目のmMITT解析結果には、海外の適応菌種である黄色ブドウ球菌(MRSA、MSSA)が含まれております。

■安全性[主要評価項目]

1)有害事象
安全性解析対象集団でのキュビシン®群における有害事象は、55例中36例(65.5%)に認められ、主な有害事象(3例以上に発現)は、下痢6例(10.9%)、嘔吐6例(10.9%)、発熱5例(9.1%)、血中クレアチンホスホキナーゼ増加4例(7.3%)、菌血症3例(5.5%)でした。重篤な有害事象は、55例中13例(23.6%)に認められ、主な重篤な有害事象(2例以上に発現)は、菌血症3例でした。投与中止に至った有害事象は、肺炎、血中クレアチンホスホキナーゼ増加及び骨瘻孔各1例でした。
安全性解析対象集団での標準治療群における有害事象は、26例中20例(76.9%)に認められ、主な有害事象(3例以上に発現)は、下痢5例(19.2%)、発熱3例(11.5%)、骨髄炎4例(15.4%)、細菌性関節炎3例(11.5%)でした。重篤な有害事象は、26例中7例(26.9%)に認められ、主な重篤な有害事象(2例以上に発現)は、細菌性関節炎2例でした。投与中止に至った有害事象は、細菌性関節炎及び骨髄炎各1例でした。

2)副作用
安全性解析対象集団でのキュビシン®群における副作用は、55例中8例(14.5%)に認められ、主な副作用(2例以上に発現)は、下痢及び血中クレアチンホスホキナーゼ増加各2例(3.6%)でした。投与中止に至った副作用は、血中クレアチンホスホキナーゼ増加1例でした。本試験において、重篤な副作用、死亡例は認められませんでした。
安全性解析対象集団での標準治療群における副作用は、26例中4例(15.4%)に認められ、主な副作用(2例以上に発現)は、下痢2例(7.7%)でした。本試験において、重篤な副作用、投与中止に至った副作用、死亡例は認められませんでした。

有害事象及び副作用の概要(安全性解析対象集団、盲検治験担当医師判定)

■治癒判定時の臨床効果[副次評価項目]

mMITTにおける臨床効果の有効率は、キュビシン®群が88.2%(45/51例)、標準治療群が77.3%(17/22例)でした(差の95%信頼区間:-8.7, 30.6)。

治癒判定時の臨床効果(mMITT、盲検治験担当医師判定)

■治癒判定時の年齢層別臨床効果[副次評価項目][サブグループ解析]

mMITTにおける年齢層別の臨床効果の有効率は、以下のとおりでした。

治癒判定時の年齢層別臨床効果(mMITT、盲検治験担当医師判定)

■MRSA感染患者における治癒判定時の臨床効果[副次評価項目][サブグループ解析]

サブグループ解析として、mMITTのうちベースライン時にMRSA感染が確認された患者における臨床効果は、キュビシン®群7例中6例、標準治療群3例中2例が有効と判定されました。

治癒判定時の臨床効果(mMITT-MRSA、盲検治験担当医師判定)

有効性の判定基準:〈臨床効果〉(盲検治験担当医師判定)
盲検治験担当医師が治験薬投与開始前の主要感染部位の症状及び徴候を、投与終了時※1及び治癒判定時※2の症状及び徴候と比較し、治癒、改善、治癒せず又は判定不能の4段階で判定した。治癒及び改善を有効とした。

※1 投与終了時:治験薬(静注治験薬及び経口治験薬)の最終投与後2日以内又は早期中止時
※2 治癒判定時:治験薬(静注治験薬及び経口治験薬)の最終投与後7~14日

■治癒判定時の細菌学的効果[副次評価項目]

mMITTにおける細菌学的効果の有効率は、キュビシン®群が76.5%(39/51例)、標準治療群が77.3%
(17/22例)でした(差の95%信頼区間:-21.8, 20.2)。

治癒判定時の細菌学的効果(mMITT、盲検治験担当医師判定)

■MRSA感染患者における治癒判定時の細菌学的効果[サブグループ解析]

サブグループ解析として、mMITTのうちベースライン時にMRSA感染が確認された患者における細菌学的効果は、キュビシン®群7例中6例、標準治療群3例中3例が有効と判定されました。

治癒判定時の細菌学的効果(mMITT-MRSA、盲検治験担当医師判定)

■治癒判定時の総合治療効果[副次評価項目]

mMITTにおける総合治療効果の有効率は、キュビシン®群が72.5%(37/51例)、標準治療群が59.1%(13/22例)でした(差の95%信頼区間:-10.5, 37.4)。

治癒判定時の総合治療効果(mMITT、盲検治験担当医師判定)

有効性の判定基準:
〈細菌学的効果〉(盲検治験担当医師判定)
原因菌別の細菌学的効果は、治験依頼者がベースライン時の原因菌の評価に基づき、治癒判定時※1に原因菌別の細菌学的効果を消失、推定消失、推定存続、存続、判定不能の5段階に分類した。消失及び推定消失を細菌学的有効とした。
患者別の細菌学的効果は、患者ごとにベースライン時に認められた全ての原因菌について、原因菌別に細菌学的効果を評価した上で、投与開始後のグラム陽性菌の重複感染※2の有無に基づき、有効、無効、判定不能の3段階で判定した。
〈総合治療効果〉(盲検治験担当医師判定)
治癒判定時※1の患者の臨床効果及び細菌学的効果がいずれも有効であった場合、総合治療効果を有効とした。

※1 治癒判定時:治験薬(静注治験薬及び経口治験薬)の最終投与後7~14日
※2 ベースライン時に検出された感染の原因菌とは異なるグラム陽性菌、グラム陰性菌又は真菌を治療期から治癒判定時までに新たに検出し、盲検治験依頼者医学専門家が原因菌と判定した。

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