PD-L1検査における精度管理のポイント
「警告・禁忌」等その他の項目はこちら をご参照ください。
PD-L1検査における精度管理のポイント
PD-L1発現評価の一般的留意点1)
PD-L1発現の判定には、腫瘍組織の3枚の連続切片による評価が最も適切です(H&E染色、PD-L1染色、NCR染色)。最初の1枚にH&E染色を行い、適切な判定試料腫瘍組織検体かを見極めて、100個以上の腫瘍細胞があることを確認します。その上で、残りの2枚のPD-L1染色、NCR染色により判定を行います。 また、「ダコ Autostainer Link 48」による染色の実施回ごとにキット同梱のセルラインコントロールスライドをあわせて染色する必要があります。さらに施設内コントロール組織の染色による評価も必要です。
NCR:Negative Control Reagent(陰性コントロール試薬)
PD-L1染色の精度管理1)
キット同梱のセルラインコントロールスライドを観察し、試薬の性能に問題がないかを評価してください。キット同梱のセルラインコントロールスライドには、PD-L1陽性対照および陰性対照のセルブロック切片が貼付されています。両方の細胞中の陽性細胞の割合、染色強度、および非特異的染色を評価します。コントロール検体の染色性が不十分だと判断された場合には、同一染色工程で染色されたすべての切片の評価結果を無効とみなします。キット同梱のセルラインコントロールスライドを、結果の解釈に使用しないでください。
PD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」 セルラインコントロールスライド
●陽性コントロールの染色性
対物倍率 20×
以下の染色性を満たしている場合、PD-L1陽性とします。
細胞の全周の70%以上を占める細胞膜染色
平均染色強度2+(中等度陽性)以上
染色強度1+(弱陽性)未満の染色を非特異的染色とする。
●陰性コントロールの染色性
対物倍率 20×
以下の染色態度を示す場合、PD-L1陰性とします。
大部分の細胞が染色されていない。 注)明らかな細胞膜陽性像を認めても、その数が10個以下である場合には陰性コントロールと判断してよい。
染色強度1+(弱陽性)未満の非特異的染色
施設内コントロール組織(子宮頸癌)スライド
●陽性コントロール標本の染色性
対物倍率 20×
陽性コントロール標本を観察し、組織が適切に処理され、試薬で正しく染色できていることを確認してください。
陽性コントロール組織には、染色強度1+(弱陽性)~2+(中等度陽性)の細胞膜染色を示す腫瘍細胞および腫瘍関連単核炎症細胞(MIC)が含まれることが理想的です。
陽性コントロール標本の染色性が不十分だと判断された場合には、同一染色工程で染色されたすべての切片の評価結果を無効とみなします。
●陰性コントロール標本の染色性
対物倍率 20×
理想的な子宮頸癌陰性コントロールのスライドでは、腫瘍細胞および免疫細胞は染色されません。
しかし、免疫細胞ではPD-L1の発現率が高いため、若干の染色は許容範囲内です。
各施設で使用している陰性コントロール標本を染色して、期待される染色結果が得られたかを判定してください。
多くの組織には様々な種類の細胞が存在しますので、施設内陰性コントロールとして適切な組織かを確認してください。
万が一、施設内コントロール組織に不適当な染色像を認めた場合には、同一染色工程で染色されたすべての切片の評価結果を無効とみなします。
陰性コントロール試薬(NCR)スライド
●陰性コントロールの染色性
対物倍率 20×
一次抗体陰性コントロールで染色したスライドを観察し、一次抗体染色スライドの判定を妨げ、組織を評価不能にする可能性のある非特異的バックグラウンド染色が存在するか否かを確認します。
一次抗体陰性コントロールで染色した組織検体スライドを観察し、一次抗体染色スライドの判定を妨げる可能性のある非特異的染色が存在するか否かを確認します。
【染色強度】 0:陰性 1+:弱陽性 2+:中等度陽性 3+:強陽性
子宮頸癌における検体 の取扱い
PD-L1検査および検体の取扱いにおける留意点1, 2)
適切なPD-L1検査を行うためには、技術的な差異が結果に影響するリスクをできる限り最小化し、精度を高めることが重要になります。治療薬に対応した特定の診断薬キットを正しく用いる、使用方法を遵守する、手技に習熟するなどの取り組みによって、ばらつきを少なくすることは可能です。 キイトルーダ®の投与に際しては、コンプリメンタリー診断薬であるPD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」(ASL48用)を用い、以下に示した点に留意して検査を行ってください。また、本IHC検査キットはアジレント社の「ダコ Autostainer Link 48」を用いて最適化されているため、抗体に対応した自動免疫組織化学染色装置を用いる必要があります。 本キットはFFPE切片に対し最適化されています。検体処理および染色については次のような点に注意して行ってください。また、固定までの時間、固定方法、固定時間は記録に残すことをお勧めします。
FFPE:Formalin Fixed Paraffin Embedded(ホルマリン固定パラフィン包埋)
NCR:negative control reagent
【免疫染色の際に使用する抗原賦活液について】
施設における子宮頸癌組織切片の前処理の際、抗原賦活液のpHは6.1±0.2である必要があります。
引用文献
1)PD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」子宮頸癌染色結果判定マニュアル 2)PD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」(Code No. SK006)電子添文 3)日本肺癌学会編:バイオマーカー委員会編:肺癌患者におけるPD-L1検査の手引き 第2.0版
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