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MSI-High固形癌とは

MSI-High固形癌:MSI-High固形癌とは

高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)固形癌は、ミスマッチ修復(MMR)機能欠損が原因で発生します

DNAには、マイクロサテライトと呼ばれる1~数塩基MSI-Highを有する固形癌とキイトルーダ®の塩基配列の繰り返しが散在しています。マイクロサテライトでは、DNA複製時にエラーが生じやすいことが知られています1)
通常、複製時のエラーはミスマッチ修復(MMR)タンパク質の複合体の機能などによって正常に修復されますが、MMR機能が欠損すると、DNA複製時のエラーが修復されず、マイクロサテライトが通常と異なる反復回数を示すことがあります。これをマイクロサテライト不安定性(MSI)といいます1)
MMR機能が欠損すると、DNAのエラーが修復されずに蓄積され、癌化する場合があります。このような癌細胞では、マイクロサテライトが通常と異なる反復回数を示しているため、「MSI-High/dMMR固形癌」と呼ばれます。

MMR; mismatch repair MSI; microsatellite instability
1)川平正博他. 腫瘍内科 2017; 20: 325-330.

MMR機能欠損によるMSI-High/dMMR固形癌の発症2-4)

(DNA塩基配列のイメージ図)

MMR機能欠損によるMSI-High固形癌の発症

2)Li SKH et al. Trends Mol Med 2016; 22: 274-289より改変
3)前原喜彦他. Cancer Frontier 2001; 3: 119-127.
4)菅井有他. 日本臨牀 2011; 69: 84-93.

MSI-High固形癌は、多岐にわたるがん種で報告されており、臓器非特異的であることが特徴です

海外において32種類の癌患者12,019例を対象に解析し、24種類の癌においてMSI-High固形癌が示されました。割合が高い順は、子宮内膜癌、胃癌、小腸癌、結腸・直腸腺癌でした。

がん種別MSI-High固形癌の割合(海外データ)5)

*MMR欠損癌

MMR機能欠損によるMSI-High固形癌の発症

early stage: stageⅠ~Ⅲ late stage: stageⅣ

【対象・方法】32のがん種(サブタイプ)の患者12,019例を対象とした次世代シーケンサー(NGS)による解析により、MMR欠損癌の患者の割合を、特定できた24のがん種別に評価した。

This translation is not an official translation by AAAS staff, nor is it endorsed by AAAS as accurate.
In crucial matters, please refer to the official English-language version originally published by AAAS.

5)Le DT et al. Science 2017; 357: 409-413
本論文は、MSD社の資金提供及び著者に同社の社員を含む。

がん種別MSI-High固形癌の割合 (国内データ)6)

国内においてMSI検査を実施した26,237例を対象に解析し、30種類の癌でMSI-High固形癌が示されました。結腸・直腸癌では3.78%にMSI-Highがみられました。

癌腫別MSI-High固形癌の割合(国内データ)

【対象・方法】2018年12月から2019年11月に国内の検査機関(SRL)で実施されたMSI検査26,469例のうち、解析が可能であった26,237例を対象として、レトロスペクティブ調査を行い、がん種別に評価した。

6)Akagi K et al. Cancer Sci 2021; 112: 1105‒1113
本論文は、著者にMSD社から資金提供を受けた者を含む。

MSI-High固形癌に対するキイトルーダ®の作用機序(イメージ図)

●がん免疫サイクル7)

がん免疫サイクル

7)Chen DS et al. Immunity 2013; 39: 1-10

●腫瘍特異抗原(ネオアンチゲン)の発現8)

MSI-High固形癌では、MMR機能の欠損により、正常な細胞と比べて、多くの体細胞の遺伝子変異を持っていると考えられています。

Stage Ⅳのがん患者における抗PD-1抗体に対する予測マーカーとして、MSIステータスの有用性を検討した試験では、腫瘍組織の全エクソームシーケンシングにより、MSI-Highではないがんでは、体細胞の遺伝子変異が平均73であったのに対し、MSI-High固形癌では平均1,782の変異が報告されています8)。それにより、腫瘍特異抗原(ネオアンチゲン)の発現が高くなり、T細胞の認識を受けやすくなることが考えられています。

腫瘍特異抗原(ネオアンチゲン)の発現

8)Dudley JC et al. Clin Cancer Res 2016; 22: 813-820
9)Le DT et al. N Engl J Med 2015; 372: 2509-2520
本論文は、MSD社の資金提供及び著者に同社の社員を含む。

●免疫監視機構からの回避 10)

がん細胞はT細胞による認識から逃れるため、がん微小環境にPD-L1/PD-L2を発現させ、活性化T細胞上のPD-1と結合することによりT細胞を抑制し、免疫監視機構から逃れることができます。

免疫監視機構からの回避

10)Pardoll DM. Nat Rev Cancer 2012; 12: 252-264

●キイトルーダ®の作用 11,12)

キイトルーダ®はPD-1に対するヒト化モノクローナル抗体であり、不活性化T細胞上のPD-1に結合することにより、がん細胞や免疫細胞上のPD-L1及びPD-L2との結合を阻害することで、T細胞を再活性化すると考えられています。その結果、MSI-High固形癌において抗腫瘍効果が発揮されると考えられています。

キイトルーダ®の作用

11)藤岡優樹他. Current Therapy 2017; 35: 172-179
12)Postow MA et al. J Clin Oncol 2015; 33: 1974-1982
本論文は、MSD社の資金提供及び講演料、顧問料などを受領しているものが含まれる。

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