胃癌 WEB講演会【追いかけ再生可能】
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「警告・禁忌」等その他の項目はこちらをご参照ください。
監修:
東京大学大学院医学系研究科 人体病理学・病理診断学
牛久 哲男 先生
近年、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場、またがん遺伝子パネル検査の保険収載に伴い、治療の適否や効果予測に関わる病理診断の重要性はますます高まっています。
そのような状況下で、2024年3月にキイトルーダ®の「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」に対する効能又は効果の追加が厚生労働省より承認されました。キイトルーダ®はT細胞機能を負に制御するPD-L1及びPD-L2のPD-1への結合を阻害する抗体であり、PD-L1を発現するがん細胞や炎症細胞が多い症例に抗腫瘍作用が期待されます。胃癌症例※1への適応は、「コンプリメンタリー診断薬※2」(PD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」[Autostainer Link 48用])を用いた免疫染色標本のCombined Positive Score(CPS)によって判定されます。
CPSは、腫瘍細胞に加えて、腫瘍浸潤免疫細胞(リンパ球、マクロファージ)も評価対象として陽性細胞率を算出するスコアです。本邦では、2019年に頭頸部癌の治療方針を選択するために導入され、現在では食道扁平上皮癌(2次治療以降)、子宮頸癌、トリプルネガティブ乳癌の治療方針の選択にも使用されています。肺癌において使用されている、腫瘍細胞のみを評価するTumor Proportion Score(TPS)とは異なることに注意が必要です。
今回、使用承認の根拠となった国際共同第Ⅲ相試験(KEYNOTE-859試験)では、CPS陽性(CPS≧1、CPS≧10)の症例、およびCPS陰性(CPS<1)症例を含む全集団(化学療法歴のないHER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌患者)において、プラセボ併用群(プラセボ+化学療法併用療法)を対照としたキイトルーダ®併用群(キイトルーダ®+化学療法併用療法)の有効性を示す成績が得られた1,2)ことから、CPSの多寡にかかわらず使用可能となりました※2。
キイトルーダ®適応決定のためのPD-L1検査においては、CPSについて十分にご理解いただくことは非常に重要であると考え、本冊子ではCPSの計算方法や評価対象細胞の詳細についてページを割いて説明させていただいています。それと同時に、検体の取り扱い(固定・包埋・薄切・染色など)についても精度管理が求められることを忘れてはなりません。本冊子が、多くの施設におけるPD-L1検査の標準化につながり、キイトルーダ®が治癒切除不能な進行・再発の胃癌の治療に寄与することを希望します。
IHC:Immunohistochemistry(免疫組織化学法)
※1 コンプリメンタリー診断薬は、医薬品の有効性や安全性に対して参考になりますが、必須ではありません。
※2 詳細については、厚生労働省から発行されている『最適使用推進ガイドライン:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)胃癌』をご参照ください。
1)承認時評価資料:国際共同第Ⅲ相試験(KEYNOTE-859試験)
2)Rha SY et al. Lancet Oncol 2023; 24: 1181-1195
本試験はMSD社の資金提供により行われた。著者にMSD社より顧問料などを受領している者が含まれる。著者にMSD社の社員が含まれる。
5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)
<治癒切除不能な進行・再発の胃癌>
5.33 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.34 HER2陰性の患者に投与すること。
5.35 本剤の有効性は、PD-L1発現率(CPS)により異なる傾向が示唆されている。CPSについて、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.30参照]
5.33 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.34 HER2陰性の患者に投与すること。
5.35 本剤の有効性は、PD-L1発現率(CPS)により異なる傾向が示唆されている。CPSについて、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.30参照]
フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤及び白金系抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)として、1回200mgを3週間間隔又は1回400mgを6週間間隔で30分間かけて点滴静注する。
7.7 併用する他の抗悪性腫瘍剤は「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、国内外の最新のガイド
ライン等を参考にした上で、選択すること。[17.1.30参照]
PD-L1の発現状況の指標であるCPSは、PD-L1を発現しているがん細胞及びリンパ球やマクロファージといった免疫細胞をカウントし、その数をがん細胞の総数で除し100を乗じることで算出されます。CPSはTPSと異なり、浸潤癌巣で判定します。
PD-L1検査は、「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」の治療開始前に実施が考慮されます。
*PD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」(ASL48用)によるPD-L1検査
※:詳細については、厚生労働省から発行されている『最適使用推進ガイドライン:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)胃癌』をご参照ください。
5.効能又は効果に関連する注意(抜粋)
<治癒切除不能な進行・再発の胃癌>
5.33 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.34 HER2陰性の患者に投与すること。
5.35 本剤の有効性は、PD-L1発現率(CPS)により異なる傾向が示唆されている。CPSについて、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.30参照]
キイトルーダ®+化学療法併用療法は、CPSにかかわらず使用可能ですが国際共同第Ⅲ相試験(KEYNOTE-859試験)で用いられたカットオフ値(CPS<1、CPS≧1)に基づいて治療方針が検討される場合があります。
※:詳細については、厚生労働省から発行されている『最適使用推進ガイドライン:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)胃癌』をご参照ください。
CPSの算出には、以下に示す計算式を用います。
CPSはTPSと異なり、浸潤癌巣で判定します。
※:CPSの評価において、分子あるいは分母に組み入れる細胞あるいは除外する細胞の種類については、こちらをご参照ください。
参考:TPS(Tumor Proportion Score)の計算式
Ⅳ期非小細胞肺癌におけるPD-L1検査では、TPSが指標として用いられており、腫瘍細胞のみが評価対象細胞となっています。
CPSの評価において、計算式の分子あるいは分母に組み入れる細胞あるいは除外する細胞の種類は以下の表に示す通りです。また、各種細胞におけるPD-L1の染色像については、こちらをご参照ください。
*1 MICでは、細胞質に対する細胞核の比率が高いため、多くの場合細胞膜染色と細胞質染色とは判別不能です。
このため、MICの細胞膜または細胞質染色はスコアリングに含まれます。
*2 隣接するMICは腫瘍と同じ20倍視野内にあると定義されます。しかし、腫瘍に対する反応に直接関連しないMICは除外されます。
*3 マクロファージと組織球は同じ細胞と考えられます。
※食道癌検体の画像
※食道癌検体の画像
①染色陽性細胞が認められる領域におけるCPSを算出する。
※:腫瘍細胞、リンパ球、マクロファージを含む
②陽性細胞が認められる領域のCPSを、その領域が腫瘍細胞全体の1/10である場合は10で除する。
①陽性細胞数が等しくなるように腫瘍領域を複数の領域に分け、各領域におけるCPSを算出する。
②分けた領域数を考慮してCPSを算出する(本例は4領域に分けられている)。
引用文献
1)承認時評価資料:国際共同第Ⅲ相試験(KEYNOTE-859試験)
2)Rha SY et al. Lancet Oncol 2023; 24: 1181-1195
本試験はMSD社の資金提供により行われた。著者にMSD社より顧問料などを受領している者が含まれる。著者にMSD社の社員が含まれる。
3)PD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」胃癌染色結果判定マニュアル
4)PD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」(Code No. SK006)電子添文
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