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HIV領域における取り組み

HIV/エイズ

MSDは30年以上にわたり、
HIV感染症という世界的課題に取り組んできました。

1985年以降、当社はHIV感染症の予防と治療およびHIV感染症の治癒に関する研究開発(R&D)を行ってきました。そうした取り組みは、今日も継続しています。

このような継続したR&Dにより、当社は、2030年までに公衆衛生の脅威であるエイズを撲滅させるという世界的な努力目標に寄与しています。

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しかしながら、依然として課題が残されています。HIV感染症に対する治療薬や治療法が飛躍的に進歩し、治療薬が多くの患者に行き届くようになったため、AIDS関連疾患で亡くなる患者はピーク時から大幅に減少し、また新規感染者数も減少傾向にあります。その一方で、抗レトロウイルス療法(ART)を受けている患者は、全HIV感染者3,890万人(2017年時点)の59%にすぎず、また、未だに毎年180万人が新たにHIV陽性と診断されことから、HIVとともに生きる人の数は毎年増え続けています。

HIV治療と予防にかかわる創薬イノベーションにより、HIVとともに生きる人々のさまざまなアンメットニーズや変容するニーズに対処することが可能になります。当社の取り組みは、プロテアーゼ阻害剤(PI)や非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、インテグラーゼ阻害剤(INSTI)など、新たなARTの開発において先駆的な役割を果たしてきました。当社は、HIVとともに生きる人々がより長く、より健康的で、より生産的な生活を送る手助けとなる医薬品の開発において、科学的立場から先導してきました。

また、当社は現在の標準的な治療となっている多剤併用によるARTの開発にあたり、他の製薬会社と協働し、重要な役割を果たしました。これからも当社は、科学者、臨床医、患者支援者に加えて世界の健康コミュニティとのパートナー関係を継続し、HIV感染症の予防と治療に対する医療面でのアンメットニーズに応えるとともに、最終的にこの疾病に終止符を打つという共通目標に向かって尽力します。

イニシアチブ

Access and Availability


当社がHIV/エイズの研究に着手してから30年以上の月日が経ちますが、HIV/エイズの世界的な課題として、開発途上国においては経済、社会および政治的要因が、HIV感染症に関する教育、治療へのアクセスを阻害しているという状況が認識されています。HIV感染症の予防、治療を包括的に提供するには、政府、市民社会、寄付者、民間部門など、様々な方面のステークホルダー(利害関係者)の努力が求められているのです。

資源が限られた状況でのアクセスを高める多面的アプローチ
当社は、政府や寄付者、先発品・ジェネリック品の製薬会社、多国間組織、市民社会と協働し、HIV/エイズのアクセスに影響を及ぼすすべての要因に対処する取り組みを行っています。われわれは、当社の専門性、人材・財務資源を活かす新たな方法と、患者アクセスという複雑な課題に対処する市場に基づいた解決策について、精力的に探っています。当社の戦略は、新薬の開発を継続しつつ、このようなアクセスを促進できるように策定されています。また、このような戦略により、単独で取り組んだ場合の限界を超えることが可能となります。すなわち協働作業は、HIV領域おける発展に必須のものといえます。

アクセスを高めるためには、幅広く包括的なアプローチが必要であることは明らかです。したがって、われわれは可用性の拡大、アクセス戦略の強化、多分野におけるパートナーシップにより、患者アクセスを改善する取り組みに尽力してきました。これらを実現するため、当社は特定の地域および国のニーズに対処する複数の戦略を採用しています。

ニーズが最も高く、ヘルスケアの財務対応力が最も低い地域でもあるサハラ以南のアフリカと世界銀行が定めた低所得国において、ラルテグラビルへのアクセスを促進するため、当社は多角的戦略モデルを策定しました。

そのひとつとして、製薬会社パートナーとの低コスト供給チェーンの導入・実施により、サハラ以南のアフリカ、低所得国および後発開発途上国(LDC)において、当社の価格を低減できるようになりました。当該国における公的機関の購買担当者も、当社の最低価格での購入が可能です。WHOによると、HIV治療を必要としている患者の5分の3が当該国に住んでいるとされています。
その他の中所得国においても、当社は経済発展と国内戦略によって様々なレベルを提供し、患者アクセスを促進する戦略を導入・実施しています。
当社が重点を置いているのは、各国のHIVアクセスニーズに見合った戦略を策定するための、政府機関やステークホルダーとの協働です。この取り組みの一環として、国別の所得レベル、疾病負荷、治療ガイドライン状況、国内エイズ治療プログラムを通じた患者アクセスおよび市場動向に基づいた差別価格方針を導入・実施しています。
製薬会社だけで、このような巨大な公衆衛生の問題を解決することはできません。
低中所得国における治療アクセスを真に向上させるには、国際コミュニティが協働してヘルスケアのインフラを強化し、ヘルスケアの適切な財源を確保し、研修や支援により地域のヘルスケア対応能力の増強を図る必要があります。持続可能な解決策は、すべてのステークホルダーの専門性に基づいた総合的なアプローチが源となります。

Partnership spotlight


当社財団は、介入プログラムの支援、ヘルスケアへの対応の強化、治療へのアクセスの改善を目的として、政府や非政府組織、その他のステークホルダーとパートナー関係を結んできました。また、以下の官民パートナーシップにおいて重要な投資を行っています:

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アフリカのHIV陽性女性のエイズおよび子宮頸がんに終止符を打つためのパートナーシップ
当社は、HIV/エイズとともに生きる開発途上国の女性に対する官民パートナーシップについても、協力を模索してきました。2019年、当社は、アフリカのHIV陽性女性のエイズおよび子宮頸がんに終止符を打つためのパートナーシップにおいて、PEPFARとジョージ・W・ブッシュ研究所(ブッシュ研究所)に参加しました。

こうした協働関係の取り組みは、HIV罹患率と子宮頸がんによる死亡率が世界で最も高いアフリカの8ヵ国において、HIVとともに生きるおよそ350万人の女性たちの子宮頸がん発症率を95パーセント削減することを目標としたものです。ヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸がんの主な原因であり、HIV陽性の女性では、浸潤性子宮頸がんを発症する可能性が4倍から5倍高いといわれています。

このパートナーシップは、HIVの予防、スクリーニング検査および治療に対する加速的戦略であり、HIV陽性女性におけるHPV関連子宮頸がん発症率の大幅な低下を目標としています。このことは、サハラ以南のアフリカ地域における子宮頸がん発症率の低下と同義です。この地域では毎年10万人を超える女性が子宮頸がんと診断されており、子宮頸がんはこの地域の女性において、死亡率が高い代表的ながん種となっています。

このパートナーシップにおいて、探査的研究を通じてエスワティニとナミビアのHIV陽性女性コホートで使用するHPVワクチンの提供を行っています。この研究により、HIV陽性女性に対する至適用量も明らかになるでしょう。

Red Lilyプロジェクト
カナダでは、住民の健康に対する当社の取り組みの一環として、HIVとHCVとともに生きるサスカチュワン州の先住民族への認知を喚起し、治療へのアクセスを高めるRed Lilyプロジェクトを先駆的に取り組んでいます。
同プロジェクトチームは、2018行動のための汎カナダ(Pan-Canadian)フレームワークを支援するため、関連するステークホルダー(供給者、州地域健康担当官、先住民族のリーダー層、地方議会および地域社会)を一堂に会する招集役を務めました。この汎カナダフレームワークを支援するため、関連するステークホルダー(供給者、州地域健康担当官、先住民族のリーダー層、地方議会および地域社会)を一堂に会する招集役を務めました。この汎カナダフレームワークは、性的感染と血液媒介感染による健康への影響を2030年までにカナダ全土で減少させることを目的に、カナダ政府が策定したものです。

活動の中で、当社はHIVとHCVの拡大の防止、検査を含む質の高い治療へのアクセスの進展およびHIVとHCVとともに生きる人々の健康に役立つ、一連の潜在的アプローチを進めました。

現在はプリンス・アルバート市を含むサスカチュワン中央部と周辺の先住民族の地域社会に重点を置いていますが、当社としては対象範囲を拡大し、先住民族で蔓延する他の慢性疾患にも取り組んでいきたいと考えています。

HIV ケアコネクト(HIV Care Connect)
米国で続いているHIVの不均衡状況に対処する活動の一環として2019年、当社財団はHIV ケアコネクトを立ち上げました。この先駆的マルチサイトは、治療へのアクセスにおける不均衡を縮小し、米国南東部の立場的に弱く治療に伴うサービスが行き届いていない地域社会でHIVとともに生きる有色人種の人々の、健康状態を改善することを目標としています。同財団は、5年間(2019-2023年)にわたり700万ドルの拠出を提言し、HIV ケアコネクトと南東部全域で選ばれた地域社会のプログラムパートナーを支援しています。

Addressing access issure in high-income countries


高所得国において、当社は患者のアクセスニーズに対する取り組みを続けています。例えば、米国では多くの州エイズ薬支援プログラム(State AIDS Drug Assistance Program :ADAP)が膨れ上がるニーズに応えようと奮闘しています。過去20年間で、当社はARTの価格引き下げまたは凍結の実施を5回行ってきました。さらに、当社は該当患者に対する支援としても、当社の米国患者支援プログラムおよび共同支払支援プログラム(U.S. Patient Assistance Program and Co-Pay Assistance Program)を通して継続しています。

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