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レカルブリオ®の特徴

開発の経緯

グラム陰性菌は敗血症、肺炎、尿路感染症、腹腔内感染症等の様々な領域での感染症の原因菌となり、薬剤耐性菌の出現が問題となっており、特にカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(Carbapenem-resistant enterobacteriaceae:CRE)及びカルバペネム耐性緑膿菌等のカルバペネム耐性グラム陰性菌の動向が注目されています。近年では世界保健機関(World health organization:WHO)が「新規抗菌薬が緊急に必要な薬剤耐性菌リスト(WHO priority pathogens list for R&D of new antibiotics)」の緊急性が最も高い「Priority 1:CRITICAL」にカルバペネム耐性腸内細菌科細菌、カルバペネム耐性緑膿菌を含め、米国疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)も「Antibiotic Resistance Threats inthe United States, 2019」において、最も脅威レベルの高い「Urgent Threat」として、CREを指定しています。本邦においてもCRE感染症及び多剤耐性緑膿菌(イミペネム、アミカシン、シプロフロキサシンの3剤に耐性を示す緑膿菌)感染症はそれぞれ五類感染症の全数把握対象疾患及び基幹定点医療機関からの届出対象疾患に指定されています。

一般的にCREやカルバペネム耐性緑膿菌による重篤な感染症は予後不良であるため、カルバペネム耐性菌感染症に対する有効性及び安全性を有する新たな抗菌薬の開発が、海外と同様に本邦においても急務とされていました。

レレバクタム水和物(以下、レレバクタム)は新規のβ-ラクタマーゼ阻害剤(β-lactamase inhibitor:BLI)であり、Klebsiella pneumoniae カルバペネマーゼ(Klebsiella pneumoniae carbapenemase:KPC)型カルバペネマーゼを含む多くのAmblerクラスA及びクラスCのβ-ラクタマーゼを阻害します。また、カルバペネム系抗菌薬のうち、イミペネム水和物(以下、イミペネム)/シラスタチンナトリウム(以下、シラスタチン)は30年以上前に海外及び日本で最初に承認されたカルバペネム系抗菌薬であり、イミペネム/シラスタチンの臨床試験及び製造販売後データ等により安全性及び有効性に関する多くのエビデンスが構築されています。

レカルブリオ®配合点滴静注用(以下、本剤)は、イミペネム/シラスタチンとレレバクタムを組み合わせた配合剤として、Merck Sharp & Dohme LLC, a subsidiary of Merck & Co., Inc., によって開発されました。米国では2013年9月に米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)によりcUTI及びcIAIの適応に基づく認定感染症医薬品(Qualified Infectious Disease Product:QIDP)及びFast Trackに指定され、イミペネム耐性グラム陰性菌(中等度耐性を含む)感染症(HABP/VABP、cIAI及びcUTI)患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験の結果に基づき、2019年7月に治療の選択肢が限られる、又は代替治療のない、本剤に感性のグラム陰性菌によるcUTI(腎盂腎炎を含む)及びcIAIに対する承認を取得し、EUでは治療の選択肢が限られる好気性グラム陰性菌による感染症治療薬として2020年2月に承認を取得しました。

また、HABP/VABPに対する国際共同第Ⅲ相試験の結果に基づき、米国では2020年6月に、EUでは2021年1月にHABP/VABPに対する一部変更承認を取得しました。

2020年12月現在で、本剤は30以上の国及び地域で承認されています。

国内では、非臨床試験成績及び臨床試験成績等の結果に基づき「本剤に感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、緑膿菌、アシネトバクター属 ただし、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株に限る」を適応菌種、「各種感染症」を適応症として2021年6月に製造販売承認を取得しました。

製品特性

  1. レカルブリオ®配合点滴静注用(以下、レカルブリオ®)は、カルバペネム系抗菌薬である「イミペネム水和物/シラスタチンナトリウム」に、β-ラクタマーゼ阻害剤「レレバクタム水和物(以下、レレバクタム)」を配合した注射用カルバペネム系抗菌薬です。
    (組成・性状のページ参照)
  2. レレバクタムはカルバペネム耐性機序であるAmblerクラスA及びクラスCのβ-ラクタマーゼを阻害します。
    (薬効薬理(非臨床試験)のページ参照)
  3. レカルブリオ®は下記菌種に対するカルバペネム耐性菌感染症治療薬です。
    〈適応菌種〉本剤に感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、緑膿菌、アシネトバクター属
    ただし、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株に限る
    (効能又は効果のページ参照)
  4. イミペネム耐性グラム陰性菌(中等度耐性以上)感染症の細菌性院内肺炎又は細菌性人工呼吸器関連肺炎、複雑性腹腔内感染症、複雑性尿路感染症患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(013試験)において、Microbiological Modified Intention-To-Treat(mMITT)集団における総合効果の有効率はレカルブリオ®群71.4%(15/21例)、コリスチン+イミペネム/シラスタチン群70.0%(7/10例)でした。
    (013試験のページ参照)
  5. 重大な副作用として、中枢神経症状、ショック、アナフィラキシー、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、重篤な肝障害、気管支痙攣、間質性肺炎、PIE症候群、重篤な血液障害、重篤な腎障害、偽膜性大腸炎、血栓性静脈炎があらわれることがあります。
    主な副作用(発現率3%以上)は、腎クレアチニン・クリアランス減少でした。
    ※電子添文の副作用の項及び臨床成績の項の安全性の結果をご参照ください。

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