シベクトロ®について
シベクトロ®について
開発の経緯
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA:methicillin-resistant Staphylococcus aureus)は1961年に世界で初めて報告されて以来、50年以上にわたり本邦及び欧米先進諸国の臨床現場で脅威となっています。欧米では、院内感染型のMRSA(HA-MRSA:hospital-associated MRSA)に加え、市中感染型のMRSA(CA-MRSA:community-acquired MRSA)が増加傾向にあり、死亡例も増加しつつあります。本邦でも種々の多剤耐性菌による院内感染が問題になっており、MRSAは薬剤耐性菌新規感染症患者の多くを占めると報告されています。本邦においても、HA-MRSA感染症に加え、強毒型のCA-MRSAの感染拡大が想定されることから、抗菌活性及び忍容性を有する新たな抗MRSA薬の開発が必要とされていました。
シベクトロ®錠200mg/点滴静注用200mg(一般名:テジゾリドリン酸エステル 以下、本剤)は、海外では2008年に臨床開発が開始され、2014年6月に米国においてMRSAを含むStaphylococcus aureus等のグラム陽性菌に起因する「急性細菌性皮膚・皮膚組織感染症(ABSSSI)」の適応を取得し、2017年11月時点では51の国又は地域においてABSSSI又は複雑性皮膚・皮膚組織感染症(cSSSI)の適応で承認されています。
国内では、国内第Ⅲ相試験の結果を受けて、製造販売承認申請を行い、テジゾリドに感性のMRSAを適応菌種として、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染を適応症とし、2018年3月に承認を取得しました。
特徴
- シベクトロ®は、オキサゾリジノン系の抗MRSA薬であり、リボソームの50Sサブユニットに結合して70S開始複合体の形成を阻害することにより、細菌の蛋白合成が阻害され、菌の増殖を抑制します。
(作用機序のページ参照) - MRSA感染あるいはその疑いがある皮膚・軟部組織感染症患者を対象とした国内第Ⅲ相試験において、TOC時の臨床効果(治癒率)は86.2%(25/29例)、TOC時の微生物学的効果(消失率)は93.1%(27/29例)でした。
(臨床成績 国内第Ⅲ相臨床試験のページ参照) - テジゾリド※は、血漿中と比べ皮下脂肪組織に110%及び骨格筋組織に120%移行しました(外国人データ)。
※非結合型テジゾリド
(組織移行性のページ参照) - シベクトロ®は、静脈内投与から経口投与へ用量変更なく切り替えることが可能です※。
(投与方法のポイントのページ参照) - シベクトロ®錠200mg及びシベクトロ®点滴静注用200mgにおいて、重大な副作用として偽膜性大腸炎、可逆的な貧血・白血球減少・汎血球減少・血小板減少等の骨髄抑制、代謝性アシドーシス、視神経症(いずれも頻度不明)があらわれるおそれがあります。
また、シベクトロ®錠200mgの主な副作用(5%未満)は、ALT上昇、AST上昇、γ-GTP上昇、AI-P上昇、肝機能異常、貧血、下痢、四肢不快感、瘙痒性皮疹、発熱でした。
シベクトロ®点滴静注用200mgの主な副作用は、5%以上が注射部位反応(紅斑、疼痛、静脈炎等)、5%未満がALT上昇、AST上昇、γ-GTP上昇、AI-P上昇、肝機能異常、貧血、下痢、四肢不快感、瘙痒性皮疹、血管痛、発熱でした。
詳細は製品電子添文の副作用の項及び臨床成績の項の安全性の結果をご参照ください。
(安全性のページ参照)
TOC:治癒判定[投与終了(EOT)7~14日後]
※シベクトロ®の7.用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.2注射剤から錠剤への切り替え
注射剤からテジゾリドリン酸エステルの投与を開始した患者において、経口投与可能であると医師が判断した場合は、同じ用量の錠剤に切り替えることができる。