製品基本Q&A
製品基本Q&A
バクニュバンス®
製品情報
ワクチン(Vaccine)から“バク(Vac)”を肺炎球菌(Pneumococcal)から“ニュ(Neu)”をとり、バクニュバンス(VAXNEUVANCE)と命名しました。
<引用>
インタビューフォーム Ⅱ.名称に関する項目
本剤の電子添文では、以下の通り記載されています。
4. 効能又は効果
〇高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による感染症の予防
〇小児における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F 及び33F)による侵襲性感染症の予防
5. 効能又は効果に関連する注意
5.1 本剤に含まれている血清型以外の肺炎球菌による感染症又は他の起炎菌による感染症を予防することはできない。
5.2 ジフテリアの予防接種に転用することはできない。
5.3 肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者とは、以下のような状態の者を指す。
・慢性的な心疾患、肺疾患、肝疾患又は腎疾患
・糖尿病
・基礎疾患若しくは治療により免疫不全状態である又はその状態が疑われる者
・先天的又は後天的無脾症
・鎌状赤血球症又はその他の異常ヘモグロビン症
・人工内耳の装用、慢性髄液漏等の解剖学的要因により生体防御能が低下した者
・上記以外で医師が本剤の接種を必要と認めた者
<引用>
電子添文
本剤の電子添文では、以下の通り記載されています。
18. 薬効薬理
18.1 作用機序
本剤は、それぞれがキャリアタンパク質(CRM197)と結合した血清型特異的な肺炎球菌莢膜ポリサッカライドを含有しており、肺炎球菌のオプソニン化、貪食及び殺菌を促進する抗体を誘導して肺炎球菌による疾患を予防する。本剤はT細胞依存性免疫応答を誘導する。キャリアタンパク質特異的ヘルパーT細胞は、血清型特異的B細胞の親和性成熟や記憶B細胞の誘導に寄与する。
<引用>
電子添文
<添付の有無>
注射針は添付されていません。年齢や体型を考慮し、適切な注射針を選んでください。
<推奨するメーカー>
針について特に推奨するメーカーはありません。
<針のゲージ>
使用可能な針のゲージについて特別な規定はありません。
皮下、筋肉内注射用の針であれば使用可能と考えられます。
使用方法
本剤の電子添文には、以下のとおり記載されています。
6. 用法及び用量
〈高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の者における肺炎球菌による感染症の予防〉
1回0.5mLを筋肉内に注射する。
〈肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる18歳未満の者における肺炎球菌による感染症の予防〉
1回0.5mLを皮下又は筋肉内に注射する。
〈小児における肺炎球菌による侵襲性感染症の予防〉
・初回免疫:通常、1回0.5mLずつを3回、いずれも27日間以上の間隔で皮下又は筋肉内に注射する。
・追加免疫:通常、1回0.5mLを1回、皮下又は筋肉内に注射する。ただし、3回目接種から60日間以上の間隔をおく。
7. 用法及び用量に関連する注意
〈効能共通〉
7.1 同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。
〈小児における肺炎球菌による侵襲性感染症の予防〉
7.2 接種対象者・接種時期
本剤の接種は2か月齢以上18歳未満の間にある者に行う。標準として2か月齢以上7か月齢未満で接種を開始すること。ただし、3回目接種については、12か月齢未満までに完了し、追加免疫は12か月齢以降、標準として12~15か月齢の間に行うこと。
また、接種もれ者に対しては、以下の接種間隔及び回数により接種することができる。
(1)7か月齢以上12か月齢未満
・初回免疫:1回0.5mLずつを2回、27日間以上の間隔で皮下又は筋肉内に注射する。
・追加免疫:1回0.5mLを1回、2回目の接種後60日間以上の間隔で、12か月齢以降、皮下又は筋肉内に注射する。
(2)12か月齢以上24か月齢未満
・1回0.5mLずつを2回、60日間以上の間隔で皮下又は筋肉内に注射する。
(3)24か月齢以上18歳未満
・1回0.5mLを皮下又は筋肉内に注射する。
7.3 肺炎球菌結合型ワクチンの接種スケジュールの中で、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンにより接種を開始後、途中で本剤による接種に切り換える場合には、残りの接種回数を本剤により接種すること。
<引用>
電子添文
特にどちらかを推奨することはありません。
本剤を含む肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)の成人への再接種の必要性について、ガイドライン等での指針はありません。
本剤の再接種についての臨床試験を行っておらず、本剤再接種時の免疫原性や安全性の情報はありません。
[接種不適当者:本剤の成分又はジフテリアトキソイド含有ワクチンに対するアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者]
[接種要注意者:本剤の成分又はジフテリアトキソイド含有ワクチンに対してアレルギーを呈するおそれのある者]
[接種要注意者:予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者]
接種不適当者に該当しなければ接種可能です。
なお、本剤に、鶏卵の成分やゼラチン、抗生物質(ペニシリン、カナマイシン、エリスロマイシン)は含まれていません。
予防接種ガイドラインでは、日本小児アレルギー学会の見解(2022年12月)を引用して以下のように記載しています(1)。
・接種液の成分によってアナフィラキシーを呈したことが明らかにある者は接種不適当者である。
・気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、じんましん、アレルギー体質などだけでは、接種不適当者にはならないが、気管支喘息がコントロール不良である場合はリスクが高くなり、喘息も含めて、これらの疾患がコントロール不良である場合はワクチン副反応との鑑別が困難になる。したがって、接種前に良好なコントロールを得ることが重要である。
・ワクチンによる副反応歴、ワクチンに含まれている成分に対するアレルギー歴とこの成分と交差反応する物質に対するアレルギー歴を問診することによって接種要注意者かどうか判定する。
・接種液成分でアレルギーと関連した報告があるのは、ワクチン主成分、安定剤のゼラチン、防腐剤のチメロサール及び培養成分である培養液、鶏卵成分、抗菌薬である。
・同じ種類のワクチンでもメーカーによって成分量やその比率が異なるため、ワクチン添付文書でその内容を確認することが望まれる。
<引用>
(1)予防接種ガイドライン 2024年度版. 発行:公益財団法人予防接種リサーチセンター, 2024;134-135
具体的な期間を示すガイドラインや指針はありません。
個々の患者さんの健康状態に応じて接種タイミングをご判断いただくことをおすすめします。
[免疫抑制療法-併用注意]
免疫抑制的な治療を受けている場合、免疫機能が抑制されているため、本剤に対する免疫応答が低下する可能性があります。
<以下、予防接種全般の情報として、「予防接種ガイドライン」(1)の記載を一部抜粋>
・腎臓疾患を有する者
感染症に罹患しやすく重症化もしやすいため原則的には積極的に予防接種は行うべきである。ただし、下記の状況では接種を控える。
プレドニゾロン2mg/kg/日以上、または体重10Kg以上の小児では1日20mg以上を内服中の場合の生ワクチンと不活化ワクチン
・悪性腫瘍の患者
原則として、完全寛解期に入って、細胞性免疫能が回復した時点で接種を行う。
・リウマチ・膠原病疾患の患者
生物学的製剤治療中における不活化ワクチン接種は抗体獲得が低下するとの報告もあるが、大凡正常で、副反応の発現も正常人に比して増加しない。また、基礎疾患の増悪はワクチン接種群と非接種群に有意差はないと考えられる。したがって不活化ワクチン接種は通常のスケジュールにしたがって接種することが推奨される。ただし、リツキシマブ使用中の抗体獲得は低下することがあり、可能であれば投与1週間以上前に接種することが望ましい。
<引用>
(1)予防接種ガイドライン2024年度版. 発行:公益財団法人予防接種リサーチセンター, 2024:126-129.
<PPSV23既接種の場合>
PPSV23を既に接種していても、本剤を接種することが可能です。
PPSV23とPCVの作用機序は異なるため、一般的に、2つのワクチンを併用することでPPSV23で多くの血清型をカバーでき、PCVの接種によって記憶B細胞が誘導されるという2つの利点が期待されています。
<PCV13既接種の場合>
同じ作用機序のワクチンであり、成人に対しては2つのPCVを併用することは一般的ではありません。また、連続接種した際の免疫原性、安全性のデータもありません。
<PCV20既接種の場合>
同じ作用機序のワクチンであること、含有する血清型の多くが重なっていることから、健康な成人に対してPCV15とPCV20を併用することは一般的ではありません。また、PCV15とPCV20を連続接種した際の免疫原性、安全性のデータもありません。
電子添文では、「本剤を水平に保持し、よく振り混ぜて均一な乳白色の懸濁液にして速やかに使用すること。」と記載しています。
状況によっては、成分が凝集していることがありますので、その場合は、上下に反転しよく振り混ぜてください。均質な懸濁液になっていない場合は、水平方向への懸濁を繰り返し行ってください(1)。
なお、接種に際して万が一、粒子状物質や変色が認められた場合には、使用を中止してください。
電子添文
14. 適用上の注意
14.1 薬剤接種時の注意
(3) 使用前に、本剤を水平に保持し、よく振り混ぜて均一な乳白色の懸濁液にして速やかに使用すること。
(4) 使用前には必ず、粒子状物質又は変色がないかを確認すること。粒子状物質や変色が認められた場合には、使用しないこと。
<引用>
(1)バクニュバンス®水性懸濁注シリンジの使用方法
MSD connect参照
安全性
本剤の電子添文には、以下のとおり記載されています。
8. 重要な基本的注意
8.1 本剤は「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
8.2 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べること。
8.3 被接種者、その介護者又は保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、痙攣等の異常な症状を呈した場合には速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
<引用>
電子添文
副反応
〈高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の者における肺炎球菌による感染症の予防〉
【頻度 10%以上】
・神経系障害:頭痛
・筋骨格系および結合組織障害:筋肉痛、関節痛
・一般・全身障害および投与部位の状態:注射部位疼痛(76.9%)、注射部位腫脹、注射部位紅斑、疲労
【頻度 1~10%未満】
・一般・全身障害および投与部位の状態:注射部位そう痒感、発熱
(注)発現頻度は、017 試験(免疫能が正常な 18~49歳の成人のうち、肺炎球菌感染症に対するリスク因子を 1つ又は 2つ以上持つ部分集団のデータ)、018 試験(HIV に感染した18歳以上の成人を対象とした試験)及び019試験(肺炎球菌ワクチン接種歴がない成人のうち、65歳以上の部分集団のデータ)に基づき算出した。
〈小児における肺炎球菌による侵襲性感染症の予防又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる18歳未満の者における肺炎球菌による感染症の予防〉
2歳未満
【頻度 10%以上】
・代謝および栄養障害:食欲減退
・精神障害:易刺激性(56.4%)
・神経系障害:傾眠
・一般・全身障害および投与部位の状態:注射部位紅斑(66.2%)、注射部位硬結(60.9%)、注射部位腫脹(50.9%)、注射部位疼痛、発熱(38 ℃ 以上) (55.6%)
【頻度 1〜10%未満】
・⼀般・全身障害および投与部位の状態:蕁麻疹
【頻度 1%未満】
・⼀般・全身障害および投与部位の状態:注射部位蕁麻疹
(注)発現頻度は、033試験、024試験(7~11か月齢、12~23か月齢の部分集団のデータ)及び統合解析[027試験(本剤4回接種の第5群の部分集団のデータ)、029試験及び031試験]に基づき算出した。
(注)40℃以上の発熱の発現頻度は3.2%である。
2歳以上
【頻度 10%以上】
・神経系障害:頭痛
・筋骨格系および結合組織障害:筋肉痛
・一般・全身障害および投与部位の状態:注射部位疼痛(60.9%)、注射部位腫脹、注射部位紅斑、注射部位硬結、疲労
【頻度 1~10%未満】
・代謝および栄養障害:食欲減退
・精神障害:易刺激性
・神経系障害:傾眠
・筋骨格系および結合組織障害:関節痛
・一般・全身障害および投与部位の状態:発熱(38 ℃ 以上)、蕁麻疹
(注)発現頻度は、024試験(2~17歳の部分集団のデータ)、023試験(鎌状赤血球症を有する5~17歳の被験者を対象とした試験)及び030試験(HIVに感染した6~17歳の被験者を対象とした試験)に基づき算出した。
詳細は電子添文を確認ください。
<引用>
電子添文
11.2 その他の副反応
基本的に特別な対処法はなく、通常の対症療法を行います(1)。
一般的な注射部位の副反応は特別な治療なく自然に消失しますが、上腕全体、あるいは前腕にまで及ぶ副反応の場合は、局所の保存的な処置(冷湿布、ステロイドホルモン剤や抗ヒスタミン剤の塗布など)を行います。
<ワクチン接種後の有害事象とその対策(1)>
<引用>
(1)渡辺博 著. わかりやすい予防接種 改訂第7版. 診断と治療社, 2023:129-130.
適正でない状況下での安全性、有効性に関するデータはありません。
念のため、接種を受けた方の健康状態を十分に観察してください。
国立感染症研究所のウェブサイト内の「予防接種における間違いを防ぐために~接種前の確認がとても大切です~」の、「予防接種で間違いがあった場合の対応(例)」もご参照ください(1)。
<引用>
(1)予防接種における間違いを防ぐために~接種前の確認がとても大切です~ 2024年4月改訂版 国立感染症研究所 p8
一般的にみられるワクチンの副反応としては、疼痛、発赤、腫脹などの局所反応や発熱、倦怠感などの全身症状がありますが、これらは免疫応答がおきる際の生体反応に伴うものとされています(1)。
予防接種ガイドラインでも局所の発赤、腫脹、硬結や発熱がワクチン接種後の「通常みられる反応」とされています(2)。
<引用>
(1)Causality assessment of an adverse event following immunization (AEFI): user manual for the revised WHO classification, 2nd ed., 2019 update
(2)予防接種ガイドライン2024年度版. 発行:公益財団法人予防接種リサーチセンター, 2024:56-57.
その他
本剤の電子添文には、以下のとおり記載されています。
14.1 薬剤接種時の注意
14.1.1 接種時
(1) 本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと。[7.1 参照]
(2) 冷蔵庫から取り出し常温になってから速やかに使用すること。
(3) 使用前に、本剤を水平に保持し、よく振り混ぜて均一な乳白色の懸濁液にして速やかに使用すること。
(4) 使用前には必ず、粒子状物質又は変色がないかを確認すること。粒子状物質や変色が認められた場合には、使用しないこと。
(5) 注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
14.1.2 接種部位
〈効能共通〉
(1)他のワクチンと同時に本剤を接種する場合、異なる部位に注射すること。[7.1 参照]
(2)筋肉内注射時の接種部位は、通常、成人には上腕の三角筋中央部、1歳以上の小児には上腕の三角筋中央部又は大腿前外側部、1歳未満は大腿前外側部とし、接種前にアルコール等で消毒する。なお、臀部又は主要な神経幹及び血管が存在する可能性のある部位には注射しないこと。
〈小児における肺炎球菌による侵襲性感染症の予防又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる18歳未満の者における肺炎球菌による感染症の予防〉
(3)皮下注射する場合の接種部位は、通常、上腕伸側とし、接種前にアルコール等で消毒する。
14.1.3 筋肉内注射時
〈効能共通〉
筋肉内注射にあたっては、組織・神経等の損傷を避けるため下記の点に注意すること。
・針長は筋肉内接種に足る長さで、神経、血管、骨等の筋肉下組織に到達しないよう、各被接種者に対して適切な針長を決定すること。
・神経走行部位に接種しないこと。
・注射針を刺入したとき、激痛の訴えや血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
<引用>
電子添文
本剤の電子添文には、以下のとおり記載されています。
貯法:2~8℃、凍結を避けること
20. 取扱い上の注意
外箱開封後は遮光して保存すること。
<引用>
電子添文
[室温放置は貯法の範囲外]
室温放置された製品の使用はおすすめできません。
本剤の貯法は「2~8℃、凍結を避けること」と規定されております。
なお、安定性試験のデータに関してはインタビューフォーム掲載データ以上のものはありません。
また、一旦室温に持ち出したものをまた冷蔵に戻すなどの温度変化に関するデータもありません。
<インタビューフォーム記載 安定性試験データ>
保存容器:シリンジ
[長期保存試験]
保存条件:2~8℃、保存期間:36ヵ月
試験項目:含量、性状、pH、エンドトキシン、無菌
結果:規格内
[加速試験]
保存条件:23~27℃、保存期間:8週間
試験項目:含量、性状、pH、エンドトキシン、無菌
結果:規格内
以下の指針が公表されています。
<65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方>
呼吸器学会・感染症学会・ワクチン学会より、「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第6版)」が公表されています(1)。
PPSV23の定期接種、PCV15とPCV20の位置付け、PCV15-PPSV23 の連続接種、PPSV23とPCV15の連続接種時の接種間隔、定期接種を中心とした肺炎球菌ワクチン接種、5年経過措置期間の定期接種率と今後の課題、ハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチン接種、などがまとめられています。
<6歳から64歳までのハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方>
呼吸器学会・感染症学会・ワクチン学会より「6歳から64歳までのハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方 第2版」が公表されています(2)。
ハイリスクとして、慢性心疾患、慢性肺疾患、慢性腎疾患、慢性肝疾患、糖尿病、自己免疫性疾患、悪性腫瘍・臓器移植後、免疫不全(主に小児)別にワクチンの推奨の要点などがまとめられています。
<引用>
(1)日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会ワクチンWG/日本感染症学会ワクチン委員会/日本ワクチン学会・合同委員会:65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方 (第6版 2024年9月6日)
(2)日本呼吸器学会呼吸器ワクチン検討委員会/日本感染症学会ワクチン委員会/日本ワクチン学会・合同委員会:6歳から64歳までのハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方 第2版 (2023年9月11日)
国内で商業的に測定を行っている検査機関はありませんが、一部の研究機関で実施されています(1)。
<引用>
(1)「肺炎球菌特異抗体測定法とその役割」 国立感染症研究所 IASR 34(3)(No.397), Mar 2013
小児では、定期接種の対象です。成人では、定期接種の対象ではありません(1)。
<小児の定期接種>
2024年10月1日より、小児の肺炎球菌感染症の定期接種は、原則として沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)を使用することとされましたが、当面の間は沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)も定期接種で使用可能です。また、過去に接種したワクチンと同じワクチンを使用することを原則とするが、原則によることができないやむを得ない事情がある場合には、PCV15で接種を開始した者について残りの接種をPCV20を用いて行って差し支えないとされています。
<定期接種実施要領(一部抜粋)>
原則として沈降20価肺炎球菌結合型ワクチンを使用することとするが、当面の間、沈降15価肺炎球菌結合型ワクチンも使用できること。また、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンを使用して1回目、2回目又は3回目までの接種を終了した者の接種について、残りの接種は、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチンを用いて行うことを原則とするが、沈降15価肺炎球菌結合型ワクチンを用いて行うこともできること。
小児の肺炎球菌の感染症の予防接種に当たっては、同一の者には、過去に接種歴のあるワクチンと同一の種類のワクチンを使用することを原則とするが、ある回数投与した後に転居した際、転居後の定期接種を実施する市町村において、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチンの接種しか実施していない等の理由により、原則によることができないやむを得ない事情があると当該市町村長が認める場合には、沈降15価肺炎球菌結合型ワクチンで接種を開始した者について、次に掲げる方法で、残りの接種を沈降20価肺炎球菌結合型ワクチンを用いて行って差し支えないこととする。
<引用>
(1)厚生労働省 定期接種実施要領