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1分で読める睡眠豆知識 ~スマホの常用で睡眠の質と記憶力が低下する!?~

1分で読める睡眠豆知識 ~スマホの常用で睡眠の質と記憶力が低下する!?~

スマートフォン(スマホ)に一度も触れずに過ごす日はありますか?
スマホ依存症は社会問題として注目を集めており、今や私たちの生活に欠かせなくなったスマホは、大人だけでなく子供にも急速に広まっています。10代の学生を対象とした中国の研究で、スマホ中毒になっていなくても、スマホを習慣的に使用していると睡眠の質や記憶力が低下するという結果が報告されました1)

スマホの習慣的な使用で睡眠の質と記憶力が低下

中国では、小学生から高校生の約6~8割が携帯電話を使用しているという報告があります2)。とはいえ、ネットやスマホ依存状態はさほど高くないことも複数のメタアナリシスで報告されています3, 4)。そこで、上海交通大学(中国)のXiaojing Li氏らは、中国全土の都市・農村部から6~18歳の学生2,298人をクラスター無作為抽出法で抽出し、スマホの使用状況やスマホの常用が睡眠の質や記憶力に与える影響などについて調べました。スマホの習慣的な使用状況は17項目のMobile Phone Addiction Index(携帯電話依存指数;MPAI)、睡眠の質はピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)中国版、日常記憶は改訂版日常記憶質問紙(Everyday Memory Questionnaire-revised;EMQ-R)で評価しました。

その結果、学生の多くはスマホを習慣的に使用していましたが、使いこなしている自信があり、スマホ中毒の学生はほとんどいませんでした。しかし中毒とはいかないまでも、スマホを習慣的に使うほど睡眠の質は低く(β=0.575、SE=0.013)、日常記憶も低い(β=0.332、SE=0.051)ことが分かりました。また睡眠の質と記憶力の間には、正の相関が認められました(β=0.429、SE=0.396)、(いずれもP<0.001、ブートストラップ法:サンプルサイズ5000)。

スマホの就寝前使用は睡眠の質に悪影響を及ぼす

スマホを習慣使用する予測因子としては、使用時間(β=0.323、SE=0.196)、使用頻度(β=0.075、SE=0.187)、スマホに対する自己効力感(β=0.243、SE=0.044)が浮上しました(いずれもP<0.001、ブートストラップ法;サンプルサイズ5000)。さらに、スマホの習慣使用と就寝前の使用との相互作用により、睡眠の質に有意な影響が認められました(β=0.648、SE=0.025、P<0.001、ブートストラップ法;サンプルサイズ5000)。スマホを就寝前に使用する時間が長く習慣的なスマホ使用率が高い人は、睡眠の質が低下しました()。

図:就寝前のスマホ使用がスマホ習慣と睡眠の質低下との関連に影響

もはや生活になくてはならないスマホですが、睡眠の質を保つためには、賢く使う必要がありそうです。

  1. Xiaojing Li et al. Int J Environ Res Public Health 2021; 18(5): 2254.
  2. Annual Report on the Internet Use and Reading Practice of Chinese Minors (2017–2018); Available online: https://www.ssap.com.cn/c/2018-09-10/1071885.shtml.
  3. Pan Y.-C et al. Neurosci Biobehav Rev 2020; 118: 612–622.
  4. Sohn S et al. BMC Psychiatry 2019; 19: 1-10.

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