CTEPH以外の肺高血圧症との鑑別
CTEPH以外の肺高血圧症との鑑別
「肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)1)」では、原因不明の肺高血圧症に対するアプローチが図のように示されており、肺高血圧症の鑑別には肺換気-血流スキャンを実施します。肺換気-血流スキャンは感度97%、特異度90-95%と報告されており2)、CTEPHの鑑別に有用な検査です3)。
「肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)」の図では、換気に異常を認めず、少なくとも区域以上の血流欠損を認める場合はCTEPHを示唆し、血流シンチグラムが正常または斑状血流欠損を示す場合はPAHを示唆することが示されています1)。
図 原因不明の肺高血圧症に対するアプローチとCTEPHの位置付け
CTEPHの診断基準では、肺換気-血流シンチグラム所見は、以下のように定められています4)。
- 換気分布に異常のない区域性血流分布欠損(segmental defects)が、血栓溶解療法または抗凝固療法施行後も6ヵ月以上不変あるいは不変と推測できる。
- 推測の場合には、6ヵ月後に不変の確認が必要。
手術適応を決定する際は、血栓部位や肺循環動態の評価が必要となることから、肺動脈造影や右心カテーテル検査などを行います5)。
References
1)日本循環器学会. 肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)
2)Nishiyama KH, et al. Cardiovasc Diagn Ther. 8, 253(2018)
3)Humbert M, et al. Eur Heart J. 43, 3618(2022)
4)難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究班. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(指定難病88). 難病情報センター.
http://www.nanbyou.or.jp/entry/307
5)日本循環器学会. 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)