CTEPHの診察
CTEPHの診察
CTEPHの診察は、肺高血圧症を疑うことから始まります。
肺高血圧症は、自覚症状として、労作時呼吸困難、息切れ、易疲労感、動悸、胸痛、失神、咳嗽などがみられます。しかし、軽度のうちは症状が現れにくく、症状を認めたときには、すでに高度の肺高血圧をきたしていることも少なくありません1)。進行すると、右心不全により、頸静脈怒張、肝腫大、下腿浮腫、腹水などの症状が現れることもあります1)。
CTEPHの診断基準では、主要症状および臨床所見は表のように定められています。
表 CTEPHの主要症状および臨床所見
① 労作時の息切れ
② 急性例にみられる臨床症状(突然の呼吸困難,胸痛,失神など)が,以前に少なくとも1回以上認められている。
③ 下肢深部静脈血栓症を疑わせる臨床症状(下肢の腫脹および疼痛)が以前に少なくとも1回以上認められている。
④ 肺野にて肺血管性雑音が聴取される。
⑤ 胸部聴診上、肺高血圧症を示唆する聴診所見の異常(Ⅱp[Ⅱ]音の亢進、Ⅲ/Ⅳ音、肺動脈弁逆流音、三尖弁逆流音のうち少なくとも1つ)がある。
厚生労働省. 平成27年1月1日施行の指定難病(告示番号1~110).
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062437.html. (2024年2月閲覧)より作成
労作時の息切れなどから肺高血圧症が疑われた場合、以前の症状を問診します。 “急性例にみられる臨床症状(突然の呼吸困難、胸痛、失神など)”や、“下肢深部静脈血栓症を疑わせる臨床症状(下肢の腫脹および疼痛)”が、以前に少なくとも1回以上認められたかどうかを確認します。
References
1)難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究班. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(指定難病88). 難病情報センター.
http://www.nanbyou.or.jp/entry/307