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PEA(肺動脈血栓内膜摘除術)

PEA(肺動脈血栓内膜摘除術)


PEAとは

CTEPHの外科治療は1980年頃に米国で報告があり、日本では1995年頃より導入され始めました1)。CTEPHでは通常器質化した血栓が肺動脈壁に付着し、内膜が肥厚しています。PEAでは、この器質化血栓と肥厚内膜を同時に摘除する必要があります2)


PEAの適応

「肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)」には、PEAの適応基準として、UCSDによる従来のPEA適応基準とESCによるPEA適応基準(表)が示されています3)

表 PEAの適応基準

①UCSDによる従来のPEA適応基準
・mPAP≧30mmHg、PVR≧300dyne·sec·cm-5
・NYHA/WHO機能分類≧Ⅲ度
・肺動脈病変の中枢端が外科的に到達しうる部位にあること
・重篤な合併症(併存疾患)がないこと

②ESCによるPEA適応基準(2015年)
・NYHA/WHO機能分類≧Ⅲ度に加え、Ⅱ度も適応とする
・区域肺動脈レベルの末梢病変であっても、外科的に到達可能であれば適応とする
・高齢、PVR高値や右室機能不全は、PEAの適応除外要因とはならない

日本循環器学会. 肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)より作表


PEAの手技

胸骨正中切開による人工心肺と超低体温循環停止下の両側同時肺動脈内膜摘除術がCTEPHに対する標準術式です4)

超低体温間歇的循環停止法を用いた肺動脈内膜摘除術

超低体温間歇的循環停止法を用いた肺動脈内膜摘除術患者

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内視鏡支援下肺動脈内膜摘除術

内視鏡支援下肺動脈内膜摘除術

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PEAの治療成績

PEAの病院死亡率は徐々に改善してきており、現在世界の主要施設では病院死亡率は5%以下の成績が得られています5)。日本胸部外科学会の年次報告によるとこの20年間の830例における病院死亡率は平均8.4%でした5)
遠隔生存率は、米国ではMadaniらにより、1410例のPEAを実施し、5年生存率82%、10年生存率75%の治療成績が報告されています6)。日本ではOginoらが88例のPEAを実施し、3年生存率90.7%、5年生存率86.4%と報告しています7)

References

1)佐藤徹.日本内科学会雑誌. 107, 234(2018)
2)荻野均. 月刊循環器. 3,86(2013)
3)日本循環器学会. 肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)
4)荻野均. 医学の歩み. 240, 123(2012)
5)荻野均. Heart View. 24, 91(2020)
6)Madani MM, et al. Ann Thorac Surg. 94, 97(2012)
7)Ogino H, et al. Ann Thorac Surg. 82, 630(2006)


CTEPHの治療